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欠損金の繰戻しによる還付と事業税および法人住民税での調整

欠損金の繰戻しによる還付

前期が黒字で納税し、当期が赤字となった場合に、前期の税金の一部を還付してもらえる制度があります。青色申告法人の欠損金の繰戻し還付制度です。これは、平成4年4月1日から適用が停止されていますが、一定の場合(①解散等や②中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額)には除外となっており、青色申告の中小企業には、所定の要件を満たせば、適用されています。

 

法人税と地方税での取扱いの違い

この規定は国税である法人税(地方法人税含む)の繰戻し還付であり、地方税である事業税や住民税には適用されません。

1)事業税-事業税では還付制度がないため、欠損金額は、常に繰越控除の対象となります。そのため、法人税の欠損金の明細の「別表七(一)」と事業税の欠損金明細の「第六号様式別表九」とでは差が生じます。

2)住民税-欠損金の繰戻しで法人税額の還付を受けた場合は、その還付法人税額を限度として計算した額を、その後の各事業年度(7年)における法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとなります。

具体的には、法人事業税・法人県民税確定申告書(第六号様式)の「還付法人税額等の控除額」として記載され、法人税割額を計算する際に調整されることになります。また、法人市民税も同様に調整されます。これは、法人住民税の法人税割の課税標準が法人税額に拠っているためです。

 

繰戻し還付から数年経つ場合は見直しを

事業税は繰越控除額をそのまま引き継ぐので適用漏れの心配はいりません。一方、住民税は所定の欄に記載をしないと適用されません。繰戻し還付をした翌年や翌々年であれば適用忘れは少ないでしょう。しかしながら、繰戻し還付後に再度欠損が継続し、法人税割額が発生していなかったような場合は、適用漏れとなる恐れもあります。特に、途中で顧問税理士が変わっていたり担当者が退職していたりした場合、直近5年分の申告書控えは引き継いでいたが、7年前の繰戻し還付の引継ぎが漏れていたということも起こりかねません。

過去に繰戻し還付をしたことがある場合には、住民税の法人税割額が再発生した年度に遡って「還付法人税額等の控除額」の適用漏れがなかったか確認してみましょう。

本店移転後の中間(予定)申告書の提出先と納付先

中間申告・予定申告

事業年度6か月超の法人は、前期確定法人税額が10万円超だった場合、翌事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に、(原則)前期納税額の半分を中間納税として納付しなければなりません。納税額の原則は前期の2分の1ですが、当期の成績が芳しくない場合には、中間仮決算をしてその数字による中間申告書の提出と納税に代えることもできます。

中間仮決算をしない場合には前期の半分が納税額となり、税務署から送付された予定申告納付書で納付(または電子納税)すればOKです。これを予定納税といい、中間仮決算のものを中間申告と呼んでいます。

中間(予定)申告の通知は前期に確定申告した税務署と地方自治体(都道府県税事務所や市区町村)から送られてきます。

 

本店移転で所轄税務署等が変わった場合

法人の本店移転で所轄税務署が変わっていた場合は混乱を招くこともあります。特に、7か月目の初日に本店移転があった場合、異動届出書は提出していても、6か月経過時点の情報で事務手続きが行われ、旧所轄税務署から予定納税の通知書が届きます。さて、どうすればよいのでしょうか?

 

国税と地方税で扱いが異なります

法人税を扱う税務署は移転後の新しい所轄税務署に申告・納税します。地方税については、移転前に事務所を置いていた自治体に申告・納付となります。

これは、税務署は全国どこであっても国の管轄下ということであり、最終的な納税は国庫に入りますので、法人税法の規定で移転後の新所轄税務署に申告・納税することと規定されています。

一方、地方税は、少し事情が違います。税収はその法人が事業をするために設置していた事務所等を置いていた各自治体に入ります。基本の計算方法が事業年度中の各月末の事務所等の数を基準として各自治体に按分されることになっています。後日確定申告の際には、移転前の自治体にも申告納付されることになりますので、予定申告は移転前の自治体に行います。(最終申告で納め過ぎとなっていれば還付されます)

たとえば、事務所が本店1か所で、7か月目の初日に横浜市西区(所轄:横浜中税務署)から東京都品川区(同芝税務署)に移転した場合、法人税は移転後の芝税務署に、地方税は移転前の神奈川県税事務所と横浜市に申告・納付することになります。

“Happy”の効果

2016年7月に“新しい働き方”を導入したグローバル消費財メーカーU社は、社員一人ひとりが「Happy」になることを実現されれば、個人も会社も成長できることを実証しつつあります。

 

Happy”の効果の生み出し方

同社では、図示したように、「Happy”は本来の実力発揮につながり、成果が生まれ、個人も会社も成長し、いきいきと人生を楽しむことができるようになる」とし、

・そのためには「フルエンゲージメント(エネルギーに満ち、実力をフルに発揮できる状態)になること」が必要で、

その要因として本当に大切なことにエネルギーを使う「エネルギーマネジメント」の重要であること、

・さらに“Happy”でいられるかどうかは、あくまで本人次第、「何が自分をHappyにするのか、気づくことで、全てが変わる」ことを指摘し、

・その根底に、万人に共通して言える「本人が「考える」のでなく「感じる」こと、Everything is Possible(世の中は無限に広がっており、どんなことでもできる)と感じることの重要性を指摘しています。

・そして、これからの管理者は「管理」するのはなく、社員のいいところを引き出す「ファシリテーター」であることの重要性を指摘している点が重要です。

 

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「例のカードを持ちましょう」e-Tax利用の簡便化

個人納税者の方のe-Taxシステム改修

国税庁は、マイナンバーカード搭載の電子証明書やマイナポータルの連携機能の活用をめざし、日々システム改修を進めているそうです。平成30年7月11日には「e-Tax利用の簡便化の概要について」というお知らせを出しています。

 

簡便化には2つの方法があるが……

リリースでは「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」が紹介されています。

「マイナンバーカード方式」は、マイナンバーカードとカードリーダーを利用して申告等のデータの送信を行う作業ですが、従来は税務署にe-Taxの開始届出書を提出し、e-TaxのID・パスワードを受領する必要がありました。平成31年1月以降は、マイナンバーカード方式の場合、届出書の提出やID・パスワードの受領は必要なくなります。これによりe-Taxの利用開始が簡便化されます。

「ID・パスワード方式」は税務署で職員による本人確認後に発行されるID・パスワードを用いてe-Taxを行えるようになるものです。ただし、この方式は国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」でのみ利用できるそうです。

 

ID・パスワード方式の落とし穴?

平成31年1月以降、e-Taxホームページから確認できるメッセージボックスに保管されている受信通知(e-Taxでの申告履歴・正常に申告書が受理された通知・申告についてのエラーメッセージなどが税務署から届きます)の閲覧には、原則としてマイナンバーカード等の電子証明書の認証が必要となるそうです。つまり、ID・パスワード方式では結果表示等が確認できない模様です。国税庁は「ID・パスワード方式はあくまでマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応」としています。電子申告も普及させたいが、平成29年3月時点で全国8.4%というマイナンバーカードの普及率も上げたい、という本音が透けているように思えます。

なお、平成31年からはスマートフォン等でも確定申告書等作成コーナーが利用できる改良も施される予定です。

従業員研修実施状況調査結果

従業員研修を実施する企業が増加

東京商工会議所が2017年度研修費用の前年との比較について、研修講座を利用した1000の企業に対して調査を行った結果を発表しています。(有効回答260件26%)

それによると前年度比について約4割の企業が「増加」と答えました。2018年度研修予算の前年度比についても「変わらない」(50.0%)、「増加」(28.9%)と回答が続き、「減少」と答えた企業は5.1%でした。

今年度も引き続き社内外研修を増やしていく傾向が見られます。

 

どんな研修を実施しているか

今後研修を実施する階層は「中堅社員」(67.2%)、若手社員(66.4%)、新入社員(60.5%)が上位に入っています。分野については「指導・育成」(58.5%)「コミュニケーションスキル」(44.3%)が続きます。新入社員研修ばかりでなく若手や中堅社員に対しても教える立場の指導力向上のための研修も多く実施されています。

受講研修の選択方法では複数回答で「会社が指定」(61.8%)「受講者の上司が指定」(44.4%)と会社や上司が決めた研修を受けさせる所が多いものの、一定の選択肢の中から「受講者本人が選択」(31.3%)「受講者本人が自由に選択」(29.0%)とする企業も約半数あります。受講者本人に何らかの形で研修の選択権を与えている企業も少なくないことが分かります。

 

人手不足対応と人材育成

人手不足の対応として人材育成に力を入れる企業が増えています。既存社員のスキルアップやモチベーションアップを図り、経験や技術力を育てる事で、人手不足にも対応していこうとしています。経験や技術を持った人材の採用がだんだん難しくなってきているという事もあります。そのような中、企業内で社員を育て上げる視点が広まってきているので今後も社内外の研修の必要性は高まっていくでしょう。

“働き方改革”の目的

長時間労働・働き過ぎが深刻な社会問題となっています。政府も企業も“働き方改革”に取り組んでいますが、その目的はどこにおくべきでしょうか。そのお手本として優れた事例を紹介しましょう。

 

“働き方改革”の事例紹介

その企業はグローバルに事業展開している消費財メーカー・U社であり、ダイバーシティの方針に基づいて、新しい働き方(Work from Anywhere & Anytime)を2年前に導入しました。その内容は次の通りです。

・社員が働く場・所・時間を自由に選択することができる制度。自宅でも会社のほか、サードプレイスとして、シェアオフィス利用可能。

・時間は、平日の6時から21時の間で、自由に勤務時間や休憩時間を決められる。

・制度導入と同時に1ヵ月の残業時間を

45時間以内とする目標設定。

この制度の目的は単に「労働時間の短縮」ではなく、次図の通り、U社をより強く、働きがいのある企業にする」ことにあり、その根底に、「社員に対する信頼」がある点に注目しましょう。

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キャッシュアウト取引における印紙税の取扱いについて

キャッシュアウト取引とは

キャッシュアウト取引(キャッシュアウトサービス)とは、デビットカードで買い物をする際に、買い物代金と引き出す現金の合計金額を口座から引き落し、買い物商品と現金を同時に店舗レジ等で受け取ることができるサービスです。買い物をせず現金のみを引き出すことも可能なため、店舗レジ等でATMの感覚で現金を引き出すことができます。

2018年4月2日よりスタートし、既に大手スーパーの一部店舗では導入が始まっています。

 

交付される書面はどう変わるのか

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印紙税の取扱い

レシート部分は金銭又は有価証券の受領事実を証明するものと認められることから、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」(第17号の1文書)に該当し、課税文書となります。ただし、記載金額が5万円未満の場合は非課税文書となります。

キャッシュアウト明細書と口座引落確認書は、金銭の受領事実の証明以外の目的で作成したと認められることから課税文書には該当しません。

義援金と支援金

災害への寄附を募る動き

今年は地震・大雨と災害が続いています。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。災害が発生した際、盛んに各団体が寄附を募りますが、その中には「義援金」と「支援金」があるのをご存じでしょうか?

 

義援金は被災者に渡される

義援金は、「義援金分配委員会」がとりまとめて、配分対象被災地の自治体へ送金されます。そこから被災された方々へ直接募金を渡すものとなります。

義援金の特徴としては「自治体への寄附として扱われる」事です。個人が寄附をした場合は「ふるさと納税」の扱いとなりますので、寄附者の所得・控除によって定められている上限金額までの寄附であれば、自己負担を2,000円で済ます事ができます。いわば自分が将来納める税金を、被災地域の救済のための目的税として納める事ができるのです。

ただし、計算は「ふるさと納税」と同じ扱いになるため、別途ふるさと納税をしている場合は、合算した金額で上限金額を考える必要があります。

 

支援金は支援団体への活動資金に

支援金は被災者の生活復旧や、避難生活の援助等、各団体が標榜している活動に使われる募金となります。組織が活動するにはどうしてもお金が必要ですし、被災者を助ける細やかな活動という面では、各団体への支援金募金は大きな力を発揮します。しかし支援金は「団体の活動費」になりますから、寄附した人は、適切に寄附金を使用しているかをチェックする必要があるかもしれません。

個人から公益法人や認定NPO法人への支援金の寄附は、寄附金税額控除が適用されるケースがあり、通常の寄附金控除と税額控除の選択適用ができます。また、寄附先がお住まいの都道府県・市区町村の認定を受けている団体の場合は、住民税の税額控除が受けられます。

義援金と支援金、どちらも被災者のために、という寄附の意義は変わりません。正しい知識と税の控除の仕組みを知って、効率的に支援を行えると良いですね。

副業の給料は乙欄課税

柔軟な働き方と副業・兼業の促進

昨年10~12月にかけて実施された厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」では、テレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方について、その実態や課題の把握及びガイドラインの策定等に向けた検討が行われました。また、今年1月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が作成され、モデル就業規則も改定されました。副業を容認している企業はまだ少なく、一般的なものとはなっていませんが、今後は多様な働き方が認められていくことと思われます。

 

給与と源泉徴収

会社や個人が、人を雇って給与を支払った場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納めなければなりません。この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。

源泉徴収義務者は、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収税額表に基づいて計算します。源泉徴収税額表は甲欄、乙欄、丙欄の3つに分かれており、正社員などに支給する主たる給与の支払者からの給与の源泉所得税は、甲欄を適用して計算します。

 

副業の給与の源泉徴収

甲欄が適用できるのは扶養控除等申告書を提出した主たる給与のみですので、副業の給与は乙欄で課税しなければなりません。乙欄は扶養控除などが認められませんので、甲欄に比べ税率が高くなっています。

月給で支払う場合は月額表の乙欄を、日給で支払う場合は日額表乙欄を適用します。

 

副業の給与収入がある人の確定申告

副業の給与収入がある人は、その収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。一方、それらの合計額が20万円以下の場合、確定申告は不要です。しかし、確定申告をすることで税金が還付になるケースもありますので、有利な方を選択すると良いでしょう。

“働き方改革”の効果

“働き方改革”の導入目的を「より強く、働きがいのある企業にする」とした場合、導入結果から効果を検証しなければなりません。その検証事例を紹介します。

 

“働き方改革”の効果

グローバルに事業展開する消費財メーカーU社は、2016年7月に“新しい働き方” (WAA:Work from Anywhere & Anytime)を導入し、3ヵ月後に次のように効果を検証しました。

(WAA導入1ヵ月後と3ヵ月後に実施した社員アンケート結果から)

項目 導入後3ヵ月の変化
WAA実施状況 一度でも実施した人の割合:導入後1ヵ月68.4%、3ヵ月後88.2%と上昇
「毎日にポジティブな変化があるか」 1ヵ月目で57.1%、3ヵ月目で68.8%が「YES」。「わからない」は2割程度で、そのほとんどはまだWAAを実施していない社員。
WAAの使用頻度 2週間に1~2回が約27%、月I~2回が25%、週1~2回が24%で、毎日使用もあり。
生産性 生産性が上がった:全体の66%、下がった:9%で、全体平均で26%の生産性向上。
労働時間 短くなった27.8%、長くなった3.5%で、全体として短くなっている。

残業時間は減少。導入前の6月と導入後の8月の対比、約-4%。

モチベーションの変化 社員のコメントの中に、「自分で働くことを選択している気がして、働くことへのモチベーションが上がった」という回答。「自分で決めたかどうか」が非常に大事。WAAを自らの意思で活用する、選択することで、結果的に効率化・生産性の向上につながっていくものと思われる。

このように、性善説に基づいて管理人事をやめ、社員を信頼して任せてみたところ、危惧するような悪いことなどは起きず、むしろ社員にいきいきと働いてもらえるようになってきていることが検証された点に注目しましょう。

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