‘法人税’ カテゴリー

今こそ問うべき過大報酬 カルロス・ゴーンから始めよ

まさかの「ゴーン・ショック」

11月19日午後4時35分、羽田空港に日産のジェット機が着陸して、ゴーン、ケリー逮捕となり、ゴーン事件が幕開けました。

日産の役員9名中、年1億円以上の公表義務該当者はゴーンさんだけで、その公表額は10億円前後で推移しておりました。

また、その後の報道で、日産では取締役の報酬は、ゴーン前会長が1人で決めていた、ということがわかりました。

 

上場会社神話を卒業すべき

法人税法には、過大役員報酬否認の規定があるのに、これが発動されるのは、同族会社に対してのみです。

上場会社株主総会では、役員報酬の総額を決議するだけです。一人一人の役員の報酬額は取締役会決議事項であり、取締役会でも、会長一任というのが多いケースです。

税務当局は、上場会社であれば、純然たる第三者も参加する株主総会がきちんと開催され、役員報酬を「お手盛り」で決めるようなことはあり得ない、との先入観をそろそろ卒業すべきです。

 

過大役員報酬否認を今こそ問うべき

昨今の上場企業においては、外国人役員に対する報酬はもとより、日本人役員に対する報酬も高額化していることが報道されています。

業界トップのトヨタの役員報酬の最高額を超えるような、日産の役員報酬が過大役員報酬と言ってどこが不都合なのでしょう。

会社の方針で、高額役員報酬を支払うのは当然に自由であっても、それが過大役員報酬であることと矛盾する関係になるわけではありません。

税務当局はアンチャッタブル過ぎます。

 

ゴーンさんこそ高額報酬

「お手盛り」かどうかが、過大役員報酬認定を検討するかどうかの境界なのだとすると、ゴーン前会長が1人で決めていた、という事実は、「お手盛り」の一つの形と言うことができます。

今回ゴーンショックで次々と暴露されている事実からして、認定賞与ほか、隠れた役員報酬もありそうですから、税務当局は、公表分以外だけを損金不算入とすることでお茶を濁すことがありそうですが、公表分を含めた、過大判定に挑戦し、この機会に、上場会社を含めた過大報酬認定の在り方を示すべき、と思われます。

GAFA課税逃れへの包囲網と米国の不協調

GAFA(ガーファ)への課税

2018年の新語・流行語大賞にNo.06「GAFA(ガーファ)」がノミネートされました。GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonのことで、IT(情報技術)の四大巨頭です。

税の世界でGAFAは、「低課税国に利益を移して“課税逃れ”」と認識されています。

 

EU、英国は「デジタルサービス課税」

2018年3月21日欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会はIT分野の国際的な巨人企業を主な対象とする「デジタル課税」の導入を加盟国に提案しました。

英国のハモンド財務相は29日の予算方針演説で、大手IT企業を対象に、英国の消費者向けのデジタル事業で得た収入に課税する「デジタルサービス税」を2020年4月から導入すると発表しました。

日本の政府税制調査会も11月7日に開いた総会で、多国籍企業の課税逃れを防止する対策について議論し、英国政府のデジタルサービス課税に関連し、国内でも検討の加速を求める意見が出され、年明けに総会を再開することになりました。

 

日本でのアマゾン課税問題

アマゾン・ドット・コムの関連会社が、東京国税局の税務調査を受け、日本国内の事業をめぐり、2005年12月期までの3年間について、140億円の追徴処分を受けたことがあります。この時は、アマゾン側は不服として、日米の二国間協議に申請し、結局、ほとんどが課税されずに決着しました。

 

BEPS行動計画での課税包囲網

グローバル企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用して節税し税負担を軽減している問題に対し、OECD租税委員会は、2012年6月より「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に有効に対処するためのプロジェクトを立ち上げ、行動計画を策定しています。

日本を含む67の国・地域(米国不参加)は、2017年6月7日、OECDがパリで主催した署名式典において、「BEPS防止を目指した租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」に署名しました。この署名により、本条約の署名国間では、二国間租税条約を改訂することなく、多国籍企業によるBEPSに対して防止措置を講じることができることとなっています。日本でのかつてのアマゾンの課税問題も、今後は逃れられなくなる包囲網が出来上がってきています。

改正無視で差し支えない

平成13年の二つの改正

平成13年に組織再編税制が導入されました。そのとき、法人税法には、適格分割等による資産移転が期中にあるときには2ヶ月以内の税務署への届け出を要件に「期中損金経理」により償却計算をしてもよいとの規定が置かれました。

この規定の前提として、同じ平成13年に、減価償却費の規定の改正があり、それまで、「内国法人の減価償却資産につき」と表現されていた部分が「内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」と改正されています。所得税法も同じです。

 

素直な文理解釈では

この二つの改正条文を素直に読むと、期末に存在しない資産については減価償却できない、しかし、適格分割・適格現物出資・適格現物分配が行われるのは期中なのに、償却計算ができないのは実務的に不都合、従って、特別に期中損金経理で償却費の計上を許す、と読むことになりそうです。

 

解釈通達での解釈の仕方

ところが、この改正の直後、所得税の通達で「年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費の額については譲渡所得の取得費に含めないで不動産所得等の必要経費に算入しても差し支えない」としました。

法人税でも当時、期中譲渡資産に係る圧縮記帳では譲渡時点までの償却費の計上をしても差し支えない、との情報を質疑応答事例として公開しました。

また、グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報でも、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。

 

通達等の解釈は理解可能か

公開情報の文脈でわかるのは、適格分割等に係る「期中損金経理」の規定は、償却を可能にする有利規定なのではなく、2ヶ月以内の届け出をしない限り償却を認めない、という制限規定だと、ということです。

国税庁は「通達」を法令解釈通達と、公開情報も法令解釈情報と表記しています。素直に読むだけでは反対の解釈になってしまいます。不利規定を置く趣旨と期中譲渡は「差し支えない」の間の解釈に一貫性があるとするのは、相当に困難です。

投資促進税制と2分の1簡便償却

リース税額控除とは

中小企業の設備投資を促進させるために、「中小企業投資促進税制」として、機械や器具備品を新規に取得した場合にその取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除のいずれかを選択適用で認めてきました。ただ資金に余裕のない中小企業の場合は新たな設備投資をリースで行う場合が多いため、リースの場合は税額控除だけを認めてきました。これが所謂「リース税額控除」です。

 

器具備品はダメ

リース会社も大いに「リース税額控除」を宣伝し進めてきました。その中心となったのは、パソコンサーバーとコピーやプリンターFAXが1台で出来る複合機です。

ところが平成29年の税制改正でこのパソコンサーバーと複合機が「中小企業投資促進税制」の対象資産から外されました。

どういうことかと言うと、対象資産から「器具備品」が除外されパソコンサーバーと複合機は「器具備品」ということで除外されたのです。そうすると残るのは「機械装置」だけとなり、製造業以外の業種ではほとんど使えなくなりました。当然30%の特別償却も使えなくなってしまいました。

 

設備投資はいつ行われるのか?

中小企業が設備投資を行う時期は、決算間際です。多くの中小企業は利益が出ることが明確になった時点で来期に向け設備投資を行おうとするのです。ところが現在の税制では決算間際に設備投資をしても減価償却が月数按分され1/12しかできず、節税効果が少ないため「投資促進税制」で30%の特別償却や7%の税額控除を認めてきたのだと思います。

ところが、中小企業が必要とする設備投資は業種業態により様々です。それを行政がこれなら良くてあれはダメ等と口をはさむから「投資促進税制」と銘打っても投資が促進されないのです。

 

2分の1簡便償却の復活を

かつて2分の1簡便償却という制度がありました。これは決算間際に購入したどんな資産(建物は除く)でも年間の償却額の半分は償却できるというものです。1998年橋本内閣の時に廃止され一気に景気が冷え込んだことがあります。中小企業の投資を促進するなら2分の1簡便償却の復活が望まれます。

確定申告書等をめぐる税法の理解と用心

修正申告書を含む

所得拡大促進税制の条文には、適用要件として、比較雇用者給与等支給額その他の計算明細等(所定の別表)の確定申告書等への添付がある場合に限り適用とあります。その確定申告書等については、括弧書きで、「修正申告書又は更正請求書を含む」としているので、修正申告や更正の請求によって税額控除額を変えることができる、ということが確認できます。

 

控除限度額は自己責任

また、この条文では、数行後にもう一度同じ確定申告書等という言葉が出てきて、添付書類記載の雇用者給与等支給増加額を控除の限度とする、としています。これらの支給額は納税者内部の情報なので、自己責任において精度の高い計算処理をしなさい、との趣旨と読めます。

 

条文を精読したのに

この条文を読み返していると、この制度の適用を忘れてしまった場合、所定別表を添付して修正申告や更正の請求をすれば、税額控除の適用を受けられそうに、読めます。しかし、適用失念で、更正の請求をしたが認められず、訴訟もしたが納税者敗訴になった、という事例があります。

 

確定申告書等という言葉 

租税特別措置法をみると、確定申告書等という言葉は何十回も出てきます。条文によっては、4回も5回も出てきます。その都度、括弧のあるものないものとして出てくるので、何度も出てくる条文では、括弧の有無が重要と理解し易いのですが、2度しか出て来ない場合は、同じ意味かと誤解しそうです。

 

括弧のない場合の言葉の意味

租税特別措置法では、初めの第2条に用語の意義という条文を置いていて、その中の一つに「確定申告書等」というのがあり、中間申告書と確定申告書を指すものとしています。従って、括弧のないこの言葉からは、修正申告書や更正の請求は除かれることになります。

 

意味するところは当初申告要件

その結果、当初申告要件とか、当初申告限度額要件とかの制限が生じることになります。

但し、欠損で税額ゼロなので適用不可でも、所定別表を添付しておけば、修正申告で納税額が出た場合、税額控除が可能と言うことでもあります。用心が肝要です。

修繕費と資本的支出

修繕費と資本的支出

国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。ですからそうならなければ修繕費ということです。

しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、その判断に迷う場合は結構あります。国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。

 

第1次判定……支出金額が20万円未満か又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで判定、該当すれば修繕費で処理します。

第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、明らかに修繕費になるものがあれば、それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。

第3次判定……第2次判定で処理した残額が、次のイ、ロのいずれかに該当すればその残額を修繕費で処理できます。

イ.60万円未満

ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下

第4次判定……第1次から第3次判定の基準でも判定できない場合には、その部分については「7:3基準」を適用して形式的に区分することも可能です。この「7:3基準」とは、法人が継続して①その金額の30%相当額か、②その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、いずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。

 

請求は一括でなく詳細に

上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。判断できない場合とは往々にして修理もしたけどついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように請求書を記載してもらうことが肝心です。

「領収書」と「領収証」

「領収書」か「領収証」か?

民法では「受取証書」としています。要は金銭を支払った者が受け取った者に、受け取った旨の証拠となる書類の交付を請求でき、その請求に基づいて公布された書面を「受取証書」としています。

これがいわゆる「領収書」又は「領収証」です。「金銭の受取」を「領収」と言うことから「受取証書」が「領収証書」となり「領収書」や「領収証」として一般に使われているものと推測されます。

その意味ではどちらも同じで、どちらでも良いと言うことになります。

 

国税庁では領収書≧領収証

「領収証」や「領収書」が関係する税法は印紙税法です。国税庁は以下のように言っています。

〈金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。〉

総称として「領収書」と言いその中の一つとして「領収証」を上げています。

 

受領の事実は支払いの事実

「領収書」であれ「領収証」であれ、受領事実を証明するために作成された証拠証券ですから、逆にその「領収書」や「領収証」を貰った側から言えば、払った事実を証明する証拠証券でもあります。ですから支払った経費等の証明資料として、非常に便利な資料となるわけです。

しかし、銀行を経由して振り込んだ場合は、銀行取引の明細を見れば支払いの事実は証明できますので、領収書や領収証の発行をしない場合が多いのです。カード決済の場合も、カード決済の明細書を保管しておけば支払いの事実は証明できます。ただその支払いが経費か否かは内容によりますので、何に使ったかわかるようにしておく必要があります。

生産性向上特措法が6月6日施行「IoT投資減税」がスタート!

東京都主税局でAIの実証実験

平成30年5月から7月にかけて、東京都主税局で税務相談窓口のチャットボットの実証実験が行われました。

チャットボットとは、「対話(chat)」する「ロボット(bot)」の造語。AI(人工知能)を活用した「自動会話プログラム」といった方がわかりやすいかもしれません。

  実験 内容 関与企業
H30.5

 

自動車税の

問い合わせ

NTTドコモ

日本IBM

H30.6

 

納税・納税証明

の問い合わせ

日本オラクル
H30.7

 

主税局HP

コンシェルジュ

日立

製作所

シンガポールの税務当局HPでも、納税者の問いに自動的に回答するバーチャルアシスタント「Ask Jasmine」(試行版)が導入されるなど、いよいよ、この分野にもAIの波が打ち寄せています。

 

平成30年度創設「IoT投資減税」

このたび、平成30年度税制改正において「情報連携投資等促進税制」(IoT投資減税)という税制優遇制度が創設されました(適用期間は、生産性向上特別措置法が施行された平成30年6月6日から平成33年3月末日)。

IoT・AI・ビッグデータなどを用いて生産性を改善させるような投資を後押しするため、30%の特別償却(又は3~5%の税額控除)を認めるというものです。対象資産は「企業内・外のデータ連携・利活用を目的とするソフトウェアや機器(機械装置、器具備品)」で次の資産が例示されています。

【対象設備の例】

①センサー等のデータ収集機器、②データ分析に連携し自動化するロボット・工作機械、③データ連携・分析に必要なシステム(ソフトウェア・AI・サーバー等)、④情報セキュリティにかかる費用等

 

「革新的データ産業活用計画」の認定が前提

この制度の適用を受けるためには、総務大臣・経済産業大臣から一定のサイバーセキュリティ対策を講じる等を内容とした「革新的データ産業活用計画」の認定を受けた青色申告法人でなければなりません。計画に従ってソフトウェア等の新設・増設をした場合(取得価額が5,000万円以上)についてこの制度の適用対象となります。

なお、要件を満たせば業種及び資本金規模を問わず、幅広くご活用できるものとなっています。

交際費課税の特例延長

年額800万円までか、全体の50%か

法人が支出した交際費は原則として損金不算入ですが、平成26年度税制改正から、資本金1億円以下等の中小法人については支出する交際費等のうち年800万円以下は損金として計上するか、接待飲食費の50%相当額を損金計上するかの選択適用ができるようになりました。

また、中小法人以外の法人でも、接待飲食費の50%相当額を損金計上できるようになりました。

当初は平成28年までの特例措置となっていましたが、28年度税制改正で30年3月まで、そして今年の30年度税制改正で32年3月31日までに開始する事業年度まで、と適用期限が延長されました。

 

5,000円以下の接待飲食費の扱いに注意

昔から実務上は5,000円以下の飲食費は会議打ち合わせでの飲食との区分が曖昧でしたが、平成18年度改正より飲食に関する接待費が5,000円以下であれば税務上交際費に含めず、全額を損金計上できる事が明記されました。

ただしその法人の役員・従業員・親族に対する接待等のために支出するものは、5,000円以下であっても交際費に該当しますので注意が必要です。

また、帳簿書類への記載は、

①飲食のあった年月日

②参加した得意先等の方の氏名や関係

③参加した人数

④飲食費の額と店の名前・所在地

等を明記する必要があります。

よく経理担当者から「この領収書のお店、誰と行ったんですか?」と聞かれる社長も多いかもしれませんね。お付き合いの多い場合は「分からなくなるからすぐに領収書に相手の名前を書いておく」という方もいらっしゃいます。

 

交際費課税は景気のバロメーター?

昭和29年度の税制改正から導入された交際費課税制度ですが、過去には頻繁に改正が行われていました。世相や景気によって左右されがちな交際費課税ですが、ここ最近の特例措置の延長に鑑みると、政府は景気の回復を最優先にしていることが見て取れます。

欠損金の繰戻しによる還付と事業税および法人住民税での調整

欠損金の繰戻しによる還付

前期が黒字で納税し、当期が赤字となった場合に、前期の税金の一部を還付してもらえる制度があります。青色申告法人の欠損金の繰戻し還付制度です。これは、平成4年4月1日から適用が停止されていますが、一定の場合(①解散等や②中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額)には除外となっており、青色申告の中小企業には、所定の要件を満たせば、適用されています。

 

法人税と地方税での取扱いの違い

この規定は国税である法人税(地方法人税含む)の繰戻し還付であり、地方税である事業税や住民税には適用されません。

1)事業税-事業税では還付制度がないため、欠損金額は、常に繰越控除の対象となります。そのため、法人税の欠損金の明細の「別表七(一)」と事業税の欠損金明細の「第六号様式別表九」とでは差が生じます。

2)住民税-欠損金の繰戻しで法人税額の還付を受けた場合は、その還付法人税額を限度として計算した額を、その後の各事業年度(7年)における法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとなります。

具体的には、法人事業税・法人県民税確定申告書(第六号様式)の「還付法人税額等の控除額」として記載され、法人税割額を計算する際に調整されることになります。また、法人市民税も同様に調整されます。これは、法人住民税の法人税割の課税標準が法人税額に拠っているためです。

 

繰戻し還付から数年経つ場合は見直しを

事業税は繰越控除額をそのまま引き継ぐので適用漏れの心配はいりません。一方、住民税は所定の欄に記載をしないと適用されません。繰戻し還付をした翌年や翌々年であれば適用忘れは少ないでしょう。しかしながら、繰戻し還付後に再度欠損が継続し、法人税割額が発生していなかったような場合は、適用漏れとなる恐れもあります。特に、途中で顧問税理士が変わっていたり担当者が退職していたりした場合、直近5年分の申告書控えは引き継いでいたが、7年前の繰戻し還付の引継ぎが漏れていたということも起こりかねません。

過去に繰戻し還付をしたことがある場合には、住民税の法人税割額が再発生した年度に遡って「還付法人税額等の控除額」の適用漏れがなかったか確認してみましょう。

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