‘法人税’ カテゴリー

平成30年度税制改正 法人課税編2

今回は、競争力強化のための税制措置を中心にその他の改正項目についても概観してみます。

 

株式を対価とする株式等の譲渡(株式対価TOB)に係る譲渡損益課税の繰延べ

現行の税制では、被買収会社の株主が買収会社の自社株式を対価とする買収に応じ、保有する株式等を買収会社に交付(譲渡)した場合、そこには金銭の交付はなく、実質は株式の交換であり、その交換は株式等の譲渡に該当するため、被買収会社の株主に株式の譲渡損益課税が生じます。

この税制が、企業外の経営資源、技術等を取り込み、特定の事業の再編等を迅速に進めていく上で弊害となっていました。

そこで、今回の改正で、特別事業再編(自社株式を対価とした公開買付けなどの任意の株式等の取得)による株式等の交付(譲渡)について、その交付に応じた株主に対する譲渡損益に係る課税を繰延べる、とする特例を創設しています。

なお、この特例は、産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を同法の改正法の施行の日から平成33年3月31日までの間に受けた事業者の株式の取得の対価として、保有する株式等を交付(譲渡)した株式等に適用されます。

 

・組織再編税制における適格要件の見直し

スピンオフの実施円滑化のため要件緩和の改正が行われています。具体的には、完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定する、としています。

また、事業再編を円滑にするため、当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間での従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち従業者従事要件及び事業継続要件を満たす、とする要件緩和の改正も行われています。

その他、無対価組織再編成についても、適格となる類型の見直し、非適格の場合の処理方法の明確化を掲げています。

 

・その他の項目

(1)収益の認識基準等については法令上明確化する、(2)返品調整引当金制度及び長期割賦販売における延払基準の選択制度を廃止する。いずれも経過措置が講じられています。

平成30年度税制改正 法人課税編1

法人課税は、(1)賃上げ・生産性向上と(2)競争力の強化等に重点を置いた改正内容です。今回は、前者の「所得拡大促進税制の改組」について、その内容を概観し、後者については次回に譲ります。

改組の内容は、①設立事業年度は対象外とする、②基準年度ベースによる増額の廃止、③計算の基礎となる継続雇用者の範囲を見直し等(当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定の者)した上で、大企業と中小企業とで、要件及税額控除に差異を設けています。

適用は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度です。

 

・大企業の適用要件と税額控除

適用要件は、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上の増加、かつ、②国内設備投資額が当期の減価償却費の9割以上であること。

一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、①給与等支給額の対前年度増加額の15%、さらに、当期教育訓練費の増加額が前期・前々期の教育訓練費の平均1.2倍を満たす場合には、控除率を5%上乗せし、20%とする。

なお、3年間(上記適用期間)の措置として、前年度の所得を上回っているにもかかわらず、①当期の平均給与等支給額が前年事業年度の平均給与等支給額を超えていない、かつ、②国内設備投資が当期償却費の1割の金額を超えていない場合には、研究開発税制その他一定の税額控除の規定を適用しないと、としています。

なお、大企業とは、中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く)又は農業協同組合等以外の法人です。

 

・中小企業の適用要件と税額控除

適用要件は、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上の増加であること。

一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、①給与等支給総額の対前年度増加額の15%、②さらに、平均給与等支給額が対前年度2.5%増加し、かつ、教育訓練費増加(前年の1.1倍)等の要件を満たす場合には、控除率を10%上乗せし、25%とする。

なお、教育訓練等(大企業・中小企業共通)とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための一定の費用です。

難解な条文 期同額給与の範囲等

役員給与に関しては、原則として、「当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの(定期同額給与)」が、法人税法上損金の額に算入されます。

また、給与の改定があった場合には、改定前後の各支給時期における支給額が同額であることも要件になっていますが、その範囲を定めている条文をどのように読むかが実務上のポイントのように思います。

 

給与改定があった場合の条文

その条文は次のとおりです。

「当該事業年度開始の日」(A)又は「給与改定前の最後の支給時期の翌日」(B)から「給与改定後の最初の支給時期の前日」(C)又は「当該事業年度終了の日」(D)までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの、です(A、B、C、Dは便宜)。

条文が「A又はBのC又はD」の場合、その読み方としては、たすき掛けに読むのが通例だそうです。そのように読むと次のような類型になります。

①AからC:事業年度開始の日から改定後の最初の支給時期の前日

②AからD:事業年度開始の日から事業年度終了の日

③BからC:給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日

④BからD:給与改定前の最後の支給時期の翌日から事業年度終了の日

しかし、選択肢として②と③は本条文の趣旨からして採用できないように思います。

なお、別の読み方として、「A又はBのC又はD」は、「A又はBにそれぞれ対応するC又はD」という意味で用いられることがあり、この場合には、「AのC」と「BのD」とのいずれかという意味であるとしています。読み方としては、後者に賛成します。

 

事例による条文の当てはめ

3月決算法人、給与支給日毎月25日、改定前支給額100、給与改定の総会決議等5月27日、改定後支給額200である場合の事例で検討しています。

・事業年度開始の日(A)から改定後の最初の支給時期の前日(C):4月1日から6月24日⇒4月25日100、5月25日100

・改定前の最後の支給時期の翌日(B)から事業年度終了の日(D):5月26日から翌年3月31⇒6月25日200、7月25日200・・3月25日200

事例の場合、改定前後の各支給時期における支給額が同額になります。

平均原価法の期間の取り方 総平均法と移動平均法

「総平均法」は簡便だがタイムリーでない

取得した棚卸資産の平均原価を算出し、期末棚卸資産の価額(払出単価)を算定する方法を「平均原価法」といい、「総平均法」と「移動平均法」の2種類があります。

「総平均法」は、一定期間ごとに(期首棚卸高+期中受入高)をこれらの総数で割り単価を求める方法です。簡便なのですが、一定期間が終了し、締めてみないとその期の払出単価を把握できないのが欠点です。

〈「総平均法」の商品有高帳〉

  期首・受入 払出・期末
①期首 4個/\56(@\14)  
②仕入 4個/\48(@\12)  
③売上   6個(@\11.5)
④仕入 8個/\80(@\10)  
⑥期末   10個(@\11.5)

上の例では総平均法による払出単価は、(①期首\56+②仕入\48+④仕入\80)/総数16個=@\11.5となります。

 

払出単価が随時把握できる「移動平均法」

一方、「移動平均法」は受入の都度、平均単価を改定する方法です。この方法によれば、随時単価を把握することができますが、継続記帳が必要で、手間がかかる方法です。

先程の例に移動平均法を用いる場合、③の払出単価は(期首①\56+仕入②\48)÷総数8個=@\13、期末の在庫の単価は、(③売上後在庫2個×@\13+④仕入\80)÷総数10個=@\10.6となります。

〈「移動平均法」の商品有高帳〉

  期首・受入 払出・期末
①期首 4個/\56(@\14)  
②仕入 4個/\48(@\12)  
③売上   6個(@\13)
④仕入 8個/\80(@\10)  
⑤期末   10個(@\10.6)

 

「期間の取り方」は通達を参考に!

法人税では「総平均法」は「期別総平均法」、「移動平均法」は「その都度移動平均法」を基本として考えていますが、通達では「総平均法」は「6か月ごと」「月別」、「移動平均法」は「月別」で行うことも認めています。「月別総平均法」と「月別移動平均法」は実は全く同じになるのですが、それぞれ「総平均法」と「移動平均法」の一つとされています。過去の判例では、上半期が異常であったため採用した「期末前2か月間の総平均法」が「総平均法」に該当するものか否か争われた例があります。

高額役員報酬残波事件 カルロス・ゴーンを何故問わぬ

泡盛「残波」過大役員報酬事件は、退職給与については納税者勝利、月次報酬については納税者部分敗訴につき現在最高裁に上告中です。

以下、判決文の納税者主張部分を、抜粋しました。

 

役員報酬は私的自治が妥当

税には、税を課することによって企業や個人の行動が不当に制約されることがあってはならないという中立性原則があるところ、役員給与額の決定は、まさに私的自治が妥当する分野である。・・・・機械的に過大役員給与の認定を行うことは、私的自治への不当な介入すなわち税の中立性原則を破壊するものとして、法人税法も許容していないというべきである。

 

ゴーンさんこそ高額給与

上場企業の役員給与について検討すると、自動車業界については、日産自動車の同業種類似法人として抽出されるトヨタ自動車及び本田技研工業の役員給与と比較して、日産自動車の代表取締役であるカルロス・ゴーンの役員給与は、過大役員給与となり、電気機器業界については、ソニーの同業種類似法人として抽出される日立製作所、パナソニック、東芝、富士通及び三菱電機の役員給与と比較して、ソニーの代表取締役である平井一夫の役員給与は、過大役員給与となり、総合商社については、伊藤忠商事の同業種類似法人として抽出される三菱商事、丸紅、三井物産及び住友商事の役員給与と比較して、伊藤忠商事の代表取締役である岡藤正広の役員給与は、過大役員給与となる。

被告は、上記各上場企業については、過大役員給与額に係る課税処分を行わず、原告に本件各更正処分をしたところ、合理的な理由を欠いた不平等な課税処分であるから、本件各更正処分は、憲法14条に違反する。

 

高額役員報酬規定は事実上死文化している

平成17年の会社法の成立に伴い、利益処分とされていた役員賞与は、費用として整理され、法人税法35条は、削除されることとなり、・・・・定期同額給与又は事前確定届出給与に限定されることとなり、・・・・隠れた賞与支給概念が消失し、高額役員報酬規定は死文化し、納税者への同項の適用は観念されないものとなった。

棚卸資産の評価方法 届出の棚卸評価をしなかった場合

棚卸資産の評価方法の選定・変更

法人が商品・製品・原材料などの棚卸資産を有することとなる場合には、その事業の種類(又は事業所)ごと・棚卸資産の区分ごとにどのような方法で評価を行うか選択し、その「届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません(提出がない場合には、法定評価方法である「最終仕入原価法による原価法」となります)。

期末評価 原価法・低価法
算定方法 個別法・先入先出法・総平均法

移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法

この棚卸資産の評価方法を変更しようとする場合には、その新たな評価方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、「変更申請書」を所轄税務署長に提出し、承認を受けなければなりません(原則として選択した方法で3年以上継続適用後)。

 

届け出た評価方法で評価しなかった場合

もし、「届出書」と異なる評価方法により評価を行った場合、どのような形になるでしょうか。この場合、法定評価方法である「最終仕入原価法による原価法」(一定の場合、その法人が行った評価方法)により評価することとされています。

例えば、「総平均法」の届出を行っている会社が変更手続きを経ないで「先入先出法」を行っている場合には、税務署の行う更正・決定の場面では、「最終仕入原価法」により評価する場合もあるということになります(一定の場合、届出の「総平均法」で是正も認められます。自主的な修正申告の場合には、この例が多いと思います)。

一方、「総平均法」の届出を行っている会社が変更手続きを経ないで「最終仕入原価法」を適用して申告した場合には、適法とはいえませんが、結果的には認められることになります。ただし、青色申告の取消事由として「選定した評価方法による評価額で行われていない場合」が挙げられているため、高リスクといえます。

 

評価方法を設立第1期目に変更できる?

設立当初に、ある評価方法で届け出ていたが、最初の申告時に別の評価方法を採用したいという場合では事情が異なります。

設立後最初に提出する法人税申告書の提出期限内であり、その変更後の評価方法を最初の申告で採用しているときは、当初の「届出書」からの変更が認められています。

重複適用の可否 投資促進税制と圧縮記帳

平成29年度税制改正で中小企業投資促進税制の一部が見直しされました。その概要は次のとおりです。

対象資産から器具備品が除かれ、また、上乗せ措置としてあった特定生産性向上設備等については、新たに創設された中小企業経営強化税制に移行されました。

 

・中小企業投資促進税制の税額控除

特定中小企業者等が特定の機械装置等(以下、設備)をした場合には、その資産の取得価額の7%に相当する金額について税額控除の適用があり、当該控除額が法人税額の20%を超えるときは、法人税額の20%相当を限度として、法人税額から控除することができます。

なお、特定中小企業者等とは、中小企業者等のうち、資本金の額又は出資金の額が3,000万円を超える法人(農業協同組合等を除く)以外の法人をいいます。

 

・国庫補助金等に係る圧縮記帳

事業者は、国又は地方公共団体等からの補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合、法人税法上、当該補助金等で取得した固定資産については圧縮記帳の特例が適用できます。この特例の概要は、次のとおりです。

その取得した固定資産の帳簿価額を補助金相当額(圧縮限度額)の範囲内で損金経理により直接減額し、当該金額をその事業年度の損金の額に算入するものです(積立方式も可)。

 

・重複適用の可否

特定中小企業者等も自治体からの補助金を受けて投資促進税制の対象となる特定の設備を取得することがあります。この場合、「税額控除」と「圧縮記帳」どちらか一方しか適用できず重複適用ができないのでは、と思ってしまいます。

しかし、法人税上の圧縮記帳と租税特別措置法上の税額控除との重複適用については、それを禁止する規定がありませんので、重複適用は可能です(特別償却も可)。

その適用に当たっては、損金算入された国庫補助金等の交付金額(予定額も含む)を控除した金額を取得価額として税額控除限度を計算することになります。

なお、国庫補助金等交付予定額を控除しない金額を取得価額として税額控除限度額を計算して申告したときは、固定資産の取得の後に国庫補助金等を受けても圧縮記帳はできません。

建設工事の節目で行われる式典 起工式・落成式等の式典費用

建設工事の節目に行われる様々な式典

新しい社屋や工場を建設すると、工事の節目節目で様々な式典が行われます。

その地方や会社の業種、宗教等によりますが、一般的には神事として行われるものが多いようです。担当する方は慣れぬ仕事に戸惑うことでしょう。例えば、「地鎮祭」と「起工式」は、どちらも工事着工に当たり、施主・施工者・工事関係者が参加する式典。土地の守護神をまつり、工事の安全を祈願するものですが、大手ゼネコン鹿島のHPによれば、祭神が異なるようです。

地鎮祭 大地主神(大地の守護神)

産土大神(土地の氏神)

起工式 手置帆負命(工匠の守護神)

彦狭知命 (工匠の守護神)

産土大神(土地の氏神)

「上棟式」も神事です。最近は、鉄骨造の場合、鉄骨のクレーン吊り上げ、鉄筋コンクリート造の場合は、最後のコンクリートの打ち込み等のセレモニーが行われます。

工事が完成すると、「竣工式」、「落成式」、「完工式」や「定礎式」が行われます。「竣工式」は神事色が強いですが、「定礎式」はもともと西洋の石造建築の「礎石」を据える祭式に由来するそうです。

 

建物新築に伴う式典費用と取得価額

法人税では、これらの式典がいつ行われたものかにより建物の取得価額に算入するかどうかの取扱いが異なります。

起工式・上棟式など 完成までの式典は、建物の取得価額に算入
竣工式・落成式など 完成後の式典は、取得価額に算入しなくてもよい

また、これら式典では、来客者に接待・供応するような場面も多くあることから、交際費に該当するものが出てきます。

その判断は、概ね次のようになります。

①従業員等に概ね一律で社内で供される通常の飲食費 交際費に

該当しない

②式典の祭事のために通常要する費用 交際費に

該当しない

③式典における宴会費(①以外)、交通費、記念品代 交際費に

該当する

 

取得価額に算入した交際費の取扱い

これらの式典費用のうち交際費に該当するものを取得価額に算入すると、費用計上されていない交際費(原価算入交際費)の損金不算入となってしまうため、一定の調整(当期:取得価額の減額、翌期:決算上調整)が必要となります。

役員給与は原則損金算入?損金不算入?モノの言い方は難しい?

スタンスが「原則損金不算入」に変わった?

税理士は、役員給与について、「規定では、原則損金不算入です」と説明します。ただ、「気持ちは原則損金算入です」と感じている方も多いのではないでしょうか。この経緯については、平成18年度の税制改正の話まで遡らなければなりません。

平成18年前の法人税の規定は、役員給与を報酬(定期の給与)と賞与(臨時的な給与)に分けた上で、報酬を「原則損金算入」とすることを前提に、賞与・過大な報酬を「損金不算入」とするとされていました。

旧34条 過大な役員報酬の損金不算入
旧35条 役員賞与の損金不算入

平成18年に会社法が施行され、役員給与に概念が一括りにされたため、法人税法も改正されました。旧35条は廃止し、34条の条文見出しが「役員給与の損金不算入」とされ、次のような内容となりました。

34条1項 役員給与の損金不算入

(例外:定期同額給与などは損金算入)

34条2項 (過大な役員給与の損金不算入)

 

財務省「原則損金不算入と考えない」?

この条文見出しやこれまでの報酬が例外的扱いとなる書きぶりは、インパクトがありました。これについて、当時の財務省の担当者は次のようにコメントしています。

「(役員給与が原則損金不算入となったという指摘があるが)法人税法の構造として22条の別段の定めを規定しようとする場合には、このような見出しや構成内容にならざるを得ないものであって、そもそも役員給与を原則損金不算入と考えるといったことではない」

22条(公正会計処理基準)は、一般に公正妥当と認められた会計基準に従うというもの。法人税法の「原則」です。これに当たらないものが「別段の定め」(例外)。

このような法人税の構造上、役員給与は公正な会計基準に基づけば「原則」(損金算入)で、34条は「例外」(損金不算入)という形をとらざるを得ない―単なる立法技術上のお話ですということなのです。

 

モノの言い方の問題ではありますが…

この「原則不算入」と読める条文に、現在でも「違法とは言わないが、立法作法として如何なものか?」という意見は根強くあります。日税連でも、役員給与は原則として損金に算入できるものとして、損金不算入とされるものを包括的・限定的に法令に規定すべきと要望しています。

やむを得ない役員給与の改定・変更 臨時改定事由・業績悪化改定事由

やむを得ない役員給与の改定・変更

法人税法上、損金算入ができる「定期同額給与」「事前確定届出給与」は、職務執行前(定時株主総会)に「あらかじめ支給時期・支給額が定められているもの」に基づき支払われることを前提としています。

ただ、給与を「先決め」した後に経営環境が変化することは、よくあること。そこで、次の「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」による改定・変更が認められています。

 

「臨時改定事由」とは

「臨時改定事由」とは、次の①や②に類する役員給与を変更せざるを得ないやむを得ない事情をいいます。

役員の職制上の地位の変更
役員の職務の重大な変更

①は役員の分掌変更があったケースです(例えば、社長が任期途中で退任したことにより副社長に就任した場合)。この「役員の職制上の地位」とは定款や総会決議等により付与されたものをいい、「自称専務」などは該当しません。

②は組織再編成があったケースなどが該当します(例えば、合併法人の取締役で、その職務内容に大幅な変更がある場合)。

会社の不祥事に当たり役員給与を一定期間減額するケースも、社会通念上相当であれば、定期同額給与の減額改定・増額改定とも臨時改定事由に当たるとされています。

 

「業績悪化改定事由」とは

「業績悪化改定事由」とは、その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する事由をいいます(減額改定のみ)。財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことのほか、次のような場合が該当します。

(業績悪化改定事由の例)

株主との関係上、業績悪化等について経営上の責任を問われ減額した場合
取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議で要請され減額した場合
経営悪化の状況下で取引先等からの信用確保のため、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合

これらは、会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない「客観的な事情」(例 主要取引先の倒産やリコール発生により業績悪化が不可避)があるかどうかにより判定します。裁決では経常利益6%減の会社が行った減額改定が否認された例があります。

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