2月, 2016

確定申告 合計所得金額とその適用場面

確定申告は、最終税額の確定の手続きであり、また、納税の過不足額を精算する手続きでもあります。

この最終の確定税額を算出する過程において、無視し、又は避けて通ることができない、各種適用の是非を判定する「要となる数値」があります。これが「合計所得金額」です。この合計所得金額は、様々な場面で登場します。

例えば、配偶者控除、扶養控除等の適用場面のみならず、繰越控除の適用といった場面においても登場します。

そこで、頻繁ではありませんが、見過ごしてしまうと税額にすくなからぬ影響を与える場面、3例を紹介し確認してみたいと思います。

 

  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例適用

この場面ですが、合計所得金額が3000万円を超える場合には、一見適用がないのでは、と思ってしまうのですが、適用がないのは、あくまで、損失の繰越控除の特例を適用する年分だけであり、損失が生じたその年の損益通算の特例適用については、まったく所得金額の要件はありません。このような場面、あまり遭遇することはないと思いますが、失念すると影響が大です。

なお、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例も同様です。

 

  • 国外居住親族の扶養控除等の適用

国外に居住している親族についても配偶者控除や扶養控除等の適用があり、その要件の1つに合計所得金額38万円以下があります。

この合計所得金額の範囲ですが、あくまで、我が国、国内で得た所得の合計金額であり、国外で得た所得は、その多寡にかかわらず、その範囲には入りません。

 

  • 配偶者特別控除の適用

この控除を適用できるのは、納税者の合計所得金額が1000万円以下の場合です。年末調整の段階でこの要件を満たしていても、別途、納税者に土地等の譲渡所得、報酬等の雑所得、懸賞金等の一時所得があった場合には合計所得金額1000万円を超えることもありますので、留意が必要です。

ちなみに、この合計所得金額ですが、申告不要となる所得であっても、合計所得金額の判定ではその所得を含めることになっています。

受取利息の源泉税が変わります

多くの方が忘れておりました

平成28年1月1日以降法人が受け取る預金の利子には、地方税(都道府県民税利子割)が課税されなくなりました。

この改正は平成25年の税制改正でなされましたが、既に多くの方が忘れてしまっていると思われます。

平成27年12月31日までに法人が受け取った預金の利子には国税15.315%、地方税5%の源泉税がかかっておりましたが、平成28年1月1日以降法人が受け取る利子には地方税5%の源泉税がかかりません。

 

法人の経理担当者は要注意

個人の方は、従来通りなので、特に気にする必要はありませんが、法人の経理を担当されている方は、経理処理に注意が必要です。

通常、預金の利子は源泉徴収税額を控除した残額が通帳に記載されます。

通帳に797円の利子が記帳されていた場合を例に説明いたしましょう。

従来は797円を国税と地方税合わせて20.315%の源泉税が控除された残額と認識し、利子は797円÷0.79685=1,000円として以下の処理をしておりました。

(預金)797

(法人税等)153国税  (受取利息)1000

(法人税等)50地方税

しかし平成28年1月1日以降に受け取る利子には地方税が課税されておりませんので以下の処理となります。

797円は国税の15.315%が控除された残額ですから、割り返す率は100%-15.315%=84.685%となります。

797円÷0.84685=941円が受取利息の金額となり、以下の処理となります

(預金)797      (受取利息)941

(法人税等)144国税

 

2月の経理処理は注意しましょう

定期預金の利子は、その内訳が通知されますので、地方税が源泉されていないことに気が付きますが、普通預金の利子は単に通帳に源泉徴収後の金額が記載されるだけです。2月は多くの銀行の普通預金の利子が計上される月ですので注意してください。

麺屋放浪記vol.3

こんにちは。

ごく一部の麺マニアのみなさんお待たせしました。麺屋放浪記、本日ご紹介するお店は、汁なし担々麺のお店「武蔵坊」さんです。こちらのお店は、地蔵通り本店、上八丁堀店、横川店の3店舗があります。

 

元祖「きさく」が発祥とされ、すっかり広島のご当地グルメに定着した汁なし担々麺。県内にも汁なし担々麺を提供するお店がずいぶん増えました。その中でも濃厚好きの私は、「武蔵坊」さんの「汁なし担々麺濃厚胡麻」を目当てに通い続けています。

 

こちらのメニューは「濃厚胡麻」と「芳醇醤油」の2本立てで、それぞれ0辛~4辛・DEATH(胡麻の超激辛)・昇天(醤油の超激辛)と辛さが選べます。辛いもの好きな私はいつも濃厚胡麻の4辛をチョイスです。(一度DEATHを試しましたが次元の違う辛さです。立ち昇る湯気で目がやられます)

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そして、いつもの通りサイドメニューの温泉玉子とライスを注文。

まずは、出てきた汁なし担々麺を汁気が無くなるまで混ぜます・・・。ひたすら混ぜます・・・。無心で混ぜます・・・。汁気が無くなり、麺と汁が馴染んだ所でようやく食します。濃厚な胡麻の風味と山椒・ラー油・唐辛子などの辛味がクセになり、どんどん箸が進みます。半分ほど食べ進めたところで、温泉玉子を絡めていただきます。味がまろやかになり、さらに箸が進みます。

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麺を食べきったところでまだ終わりません。お皿に残ったタレ・具材の上にライスを投入。しっかり混ぜて担々麺ライスとして最後まで旨味・辛味を堪能します。

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貧乏くさいなんて言ってはいけません。これが広島汁なし担々麺の流儀なのです。

広島には他にも汁なし担々麺の名店がいくつもあります。是非、自分好みのお店を探してみてください。

その領収書、経費で落ちますか?

その領収書は経費になりますか?

文筆業を営むAさんは、参加者が医者、歯医者、弁護士など多岐にわたる異業種交流会を主宰しています。年に数回、昼は伝統芸能に触れ、夜は鮨会と称しておいしいものをいただく会です。情報交換と交流が趣旨の会ですが、内実は子供が同級生同士のオヤジの集いです。

実費を割勘にしますが、希望者は店から“宛先なしの割勘分の領収書”をもらいます。この領収書は経費でOKでしょうか?

 

経費とは

個人所得税で経費となるか、法人税計算で損金となるかについては、所得税法37条(必要経費)と法人税法22条3項(各事業年度の所得の金額の計算)で規定されていますが、判断基準は“収入を得るために直接要した費用かどうか”です。

その交流会が文筆業の役に立っていれば経費とすることは可能ですが、趣味と実益を兼ねておりますので、調査の時は、説明を求められると思います。

 

領収書よりレシートの方が説明が容易

「宛先が自分名の領収書はOKだが、“上様”領収書はNG。レシートよりも宛先の書かれた領収書が必要」と一般的には信じられているようですが、レシートには人数・時間・品名等の細かな情報が記載されます。単に“御食事代”としか記されていない領収書よりも、レシートの方が経費性を証明しやすいという側面があります。あえて情報の少ない領収書をもらい直すよりも、レシートに参加者・関係・目的などを手書きで記載しておく方が経費性の説明が容易となります(レシートは多弁なのです!)。

 

領収書がなければ経費にできないか?

Aさんにとっては、参加者が本の執筆時などには格好の取材源です。事実、本の内容に反映させましたし、Aさんが新聞や雑誌から取材を受けたときも、この交流会で得た情報を有効活用できました。

気を付けて領収書をもらうように心がけていますが、忘れてしまう場合もあります。でも領収書がなくとも、日時・相手先・目的などを記した「支払証明書」を適時に作成しておけば問題なく経費として落ちます。

マネジメント重視の目標管理

目標管理制度を活用している多くの企業の中で、「目標管理制度は上司と部下に共通する基本的なマネジメントサイクルそのものである。」と定義し、「目標設定-進捗管理-達成度評価(PLAN-DO-SEE)のサイクル」に注力して制度運用を図ろうとしている企業があります。

 

マネジメントを重視する利点

このように、マネジメント重視の運用を図る場合の利点としては次の事項が挙げられます。

  • 目標設定・達成基準設定の具体性や精度向上が図られる。
  • P-D-S(またはP-D-C-A)を上司と部下が徹底することで、プロセスの障害発見・除去等の管理がうまく行き、目標達成力が向上する。
  • 達成度評価の上司・部下間のズレが小さくなり、納得性が向上する。

注意が必要な点

「目標管理制度」のマネジメントサイクル重視は、制度の目的から見ると、必要条件であり、十分条件とは言えませんので、その運用を行なう場合、次の点に注意する必要があります。

  • 「目標管理制度」は「業績管理制度」ですから、中期経営計画、年度経営計画からカスケードダウン(順次細分化)された目標設定でなければなりません。
  • 近年は役割・成果主義の評価が重視される傾向があり、その場合は「役割グレード・期待貢献の設定と目標達成度評価」が対応付けられ、賃金等の処遇に反映されて動機付け効果を生み出さなければなりません。
  • 目標管理制度には、その運用を通じて人材育成を図る機能があり、マネジメントサイクル重視と併せて注力しなければなりません。

 

経営者・管理者の留意点

このように、目標管理制度は「業績管理制度」であると言う基本機能を中心として、多面的な機能があります。それらを認識しつつ、個別企業が置かれた状況、課題に応じて弱点の改善、強みの強化策を目標管理制度運用や人事賃金制度改革で実現したいものです。

気をつけたい平成27年分の譲渡所得 取得費加算の改正は要注意!

要注意! 相続税額の取得費加算の改正

平成27年から相続税額の取得費加算の特例制度が改正されています。

この制度は、相続又は遺贈により財産を取得した方に相続税が生じている場合において、その相続税の申告期限から3年以内(亡くなられた日から考えると3年10ヶ月以内)に、相続財産を譲渡したときには、その譲渡所得の控除する取得費に、その譲渡した財産に対応する相続税額を加算し、譲渡所得の課税を軽減するものです。

 

譲渡所得の計算式

譲渡所得=譲渡収入

-(取得費+取得費加算額+譲渡費用)

平成26年までの相続により取得した財産を譲渡した場合には、譲渡した資産を「土地等」と「それ以外」に分けて計算し、「土地等」の改正前の計算式では、譲渡していない土地に対応する相続税相当額も取得費に加算されるため、土地を多く相続して、その一部を譲渡したものは取得費加算額が著しく有利になると指摘されていました。

 

平成26年12月31日までの相続の場合

たとえば、次のような事例の場合、改正前の計算では次のようになります。

(事例)

相続税の課税価格の合計額:6億円

債務控除:なし

譲渡した者の相続税額:56,600,000円

相続財産のうち土地A:0.6億円

相続財産のうち土地B:2.4億円

で土地Aのみを譲渡したとしましょう。

(平成26年12月末日以前の相続)

相続税額56,600,000×すべての土地の評価額3億円/課税価格の合計額6億円=28,300,000円(取得費加算額)

 

平成27年1月からの相続の場合

同じ事例で平成27年1月1日以後の相続の場合には次のように計算されます。

(平成27年1月1日以後の相続)

相続税額56,600,000×譲渡した土地の評価額0.6億円/課税価格の合計額6億円=5,660,000円(取得費加算額)

改正前の数字とは、取得加算額がかなり変わることがわかりますね。平成27年に開始した相続については、ご注意ください。

個人の確定申告 申告手続きに留意!

確定申告の時期に入りました。多くの方は、ほぼ準備が完了し申告書の作成かと思います。

ところで、申告書作成の際には、収入について、それが非課税か課税か、または何所得になるのか、さらには、ある支出が必要経費になるかどうか等、いろいろと悩んでしまうこともあるかと思います。

一方で、申告手続き、具体的には、申告書を3月15日までに提出(期限内申告)しないと適用できない規定や青色申告書でないと適用できない規定もあります。

そこで、確定申告に伴う主な手続きの内容を確認してみたいと思います。

 

  • 純損失の繰越控除

平成22年分までは、損失発生年は期限内申告が要件でしたが、平成23年度以後は廃止されていますので、期限後申告でも適用があります。しかし、損失発生年の申告書は、一定の損失を除き青色申告書であることが要件です。

また、控除適用年ですが、損失発生後の各年において連続して確定申告書を提出しなければなりせんが、その申告は期限後申告でもよく、申告書の青・白は問いません。

例えば、青色申告者が法人成りをしたが、その年が赤字で純損失が発生、期限内に申告書を提出、そして、その翌年以後は給与所得(白色申告者)となった場合であっても、純損失の繰越控除は適用できます。

 

  • 純損失の繰戻し還付請求

前述の純損失の繰越控除は、発生年の損失を翌年以後の所得から控除して貰える制度ですが、この純損失の繰戻し還付請求は、発生年度の損失を前年の所得と相殺し、前年に支払った税金を取り戻す制度です。

この繰戻し還付請求は、前年分について青色申告書を提出していること、そして、本年分の青色申告書を期限内に提出し、かつ、同時に純損失の繰戻し還付請求書を提出することが要件です。なお、復興特別所得税に係る部分は還付されません。

 

  • 青色申告特別控除

事業所得者(家内労働者等の事業所得特例計算の適用者も含む)や不動産賃貸を事業的規模で営んでいる事業者には、青色申告特別控除65万円の適用があります。しかし、この控除を受けるためには、貸借対照表等の作成等一定の要件がありますが、何と言っても、申告書が期限内に提出されていないとこの控除の適用は受けられません。

力士とプロ野球選手では違います プロスポーツ選手の所得区分

プロ野球選手は「個人事業者」

プロスポーツ選手は皆「個人事業者である」という印象が強いと思います。

プロ野球選手の場合は、昔の通達(現在は廃止)で、選手は球団の指定する試合に出場することを約し、出場契約料・試合契約料を受けるもので、選手の技能や人気の高低により出場料が変わってくるとなると、一般芸能人の出演契約と変わらないものとして事業所得とされてきたことから、現在でも同様の取扱いが行われています。

 

プロ野球選手の所得区分

事業所得 ①契約金

②参稼報酬(年俸のこと)

一時所得 後援会等の法人から受ける祝儀等

 

相撲力士の場合は「給与所得者」?

他のプロスポーツ選手の所得区分は、所属団体との従属性が強いか、弱いかにより取扱いが変わってくるケースがあります。

たとえば、相撲力士の場合には、日本相撲協会に対する従属性が強いため、個別の通達により、日本相撲協会から支給されるものは給与所得とされています。その他の収入の所得区分は次のとおりです。

 

相撲力士の収入の所得区分

給与所得 日本相撲協会から支給される給与収入
事業所得 ①懸賞金

②優勝賞金・副賞金品

③引退興行の収益金

一時所得 後援会等の法人から受ける祝儀等
退職所得 ①現役引退時に日本相撲協会から支給される養老金・勤続加算金

②特別功労金(横綱・大関)

 

事業所得と給与所得の区分の難しさが反映

事業所得と給与所得の区分は「従属性」や「独立性」等から判定されますが、実際には判断が難しいケースが多々あります。たとえばバイオリニストは高度な技量をもつため、プロ野球選手と同様に取り扱われるものとも考えられますが、過去の判例では、楽団への従属性が強いものとして給与課税を認めたケースもあります(日フィル事件)。

今年のサンフレッチェ

落合です。

 

ついに今週末から2016年のサンフレッチェの戦いが始まります。

 

昨年は優勝だったので、今年はゼロックススーパーカップに始まり、アジアチャンピオンズリーグ、ナビスコカップ、天皇杯とJリーグ以外にも試合が詰まっています。

さらに昨年チーム得点王のドウグラスや、サイドの切り札だった山岸選手などが移籍してしまったので、新戦力の力が重要になってきます。

なので今回は新加入選手の紹介をします。

 

まず、長沼洋一選手はサンフレッチェユースからの昇格でミッドフィルダー。攻撃にセンスを感じる選手なので、柴崎、茶島などと競って欲しいです。

 

次に森島司選手は三重の四日市高校から入団でミッドフィルダーです。四日市高校でも司令塔として活躍していて、ミッドフィルダーの中でも後ろの方でプレーする選手です。

視野が広くキープ力もあるので、サンフレッチェに絶対必要な選手です。早くプレーが観たい選手の1人です。

 

続いてキム・ボムヨン選手は山形からの移籍で韓国国籍のミッドフィルダーです。サイドを主戦場とするウイングバックで右も左も出来ます。サイドが攻撃の鍵を握るサンフレッチェで山岸の抜けた穴を埋めることが出来る選手だと思います。すごい良い人オーラが出ている顔をしています。

 

ピーターウタカ選手は今回の新加入選手の中で一番前評判の良い選手です。清水からの移籍でナイジェリア国籍のフォワードです。ドウグラス分の働きを期待されてる感が強いですが、実際はドウグラスより活躍する可能性はかなり高いと思います。身体能力だけでなく柔らかいタッチも持っているので、色々な状況で活躍してくれそうです。

 

最後に宮吉拓実選手は京都からの移籍でフォワードです。ジュニアユースの頃から各年代別日本代表に選ばれていて、Jリーグデビューを16歳で果たしており、京都の至宝と呼ばれていました。

トラップが上手く、ボールタッチが柔らかく、スピードもあり、シュート技術は高く、シュートパターンも多い、守備意識が高く、シュートよりパスを優先させる傾向のある選手です。

今は同世代の柴崎岳や宇佐美、宮市に置いていかれている感じはありますが、将来日本代表になる可能性は充分にある選手です。

今年のユニフォームは私は宮吉を買いました。

 

ついに始まるシーズン、広島をあげて応援しましょう。

役員退職金算定の「功績倍率法」 功績倍率は2~3倍で大丈夫?

功績倍率「2~3倍」で大丈夫か?

「役員退職金をどのぐらい支払えばよいか?」というのは実に悩ましい問題です。

一般的には、役員退職金の算定方法は、「功績倍率法」(退任時報酬月額×在任年数×功績倍率)や「1年当たり平均額法」などで求められます。

法人税法では、役員退職金は「不相当に高額」ならば、過大役員給与として損金不算入となります。会社が「不相当ではない金額」を決めようとする場合、「その法人に従事した期間」や「類似法人(業種・規模など)の役員退職給与の支給状況」などを総合勘案する必要があるとされています。

過去の判例(昭56.11.18など)から、功績倍率法の場合、おおむね「2~3倍」(平取2倍・社長3倍)の範囲ならば大丈夫ではないかといわれていました。

 

全国統計から抽出した功績倍率は使えず?

平成25年の東京地裁の判例では、国税側が示した平均功績倍率1.18倍で算定した約490万円を適正なものとして、納税者が個別事情を加味して支払った退職金6,032万円のほとんどを否認しています。判示された項目の一つに、功績倍率を選定する抽出法人が適当でないという点がありました。

これは納税者が任意団体の公表する全国の役員退職金データ(全国7,320社、役員8,454人)から抽出した4法人を用いて適正功績倍率「3.0倍」と算定したところ、国税側の示した3法人より「対象地域」「業種の類似性」の点で劣るとして退けられたものです。「功績倍率法では、同業類似法人データの抽出基準」がポイントであるということですが、国税側はこのような情報にアクセスが容易な一方で、一般納税者が入手することは極めて困難なものといえます。

 

「シークレット・コンパラブル」と同じ問題

似たような話が国際税務の世界でもあります。移転価格税制の調査では、独立企業間価格の算定に必要な資料が納税者から出されない場合、国税側が質問調査権を行使して入手した競合他社の情報を基に推計課税を行うことがあります。この課税の根拠となる比較対象企業は、守秘義務の観点から納税者には知らされないため「シークレット・コンパラブル」と呼ばれています。納税者は、どこの企業か分からなければ、本当に自社と比較できるものであるかも分からないので、反論のしようがないわけです。

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