10月, 2017

個別労働紛争件数から見る紛争と解決

平成28年度個別労働紛争件数は高止まり

今年も厚生労働省から「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が6月に発表されましたが、総合労働相談件数は113万741件で前年に比べると9.3%増となりました。

件数が100万件を超えるのは9年連続であり、高止まりしています。労働相談制度を知る人が増え、相談者も黙っていないで職場に改善を求める動きも広がってきている事が背景にあるようです。

 

「いじめ・嫌がらせ」が問題のトップ

中でも大きな問題となっているのが「いじめ・嫌がらせ」です。民事上の個別労働紛争の相談件数(7万917件)、助言指導の申出(2206件)、あっせんの申請件数(1643件)のすべてでトップになりました。

「いじめ・嫌がらせ」は近年、毎年労働紛争のトップ理由であり問題視されています。これは「ハラスメント」と同じものと考えられます。例えば厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(今年4月公表)においても3人に1人が「パワーハラスメントを受けた経験がある」との結果が示されていて、企業での対策は必至となっています。

 

労使紛争防止の為に

最近は「個別の労働者対企業」のトラブルがマスコミに取り上げられ、企業イメージが損なわれると言った事も起きています。

ハラスメントをめぐる紛争を防ぐためにはトラブルを未然に防ぐ適切な対策を講じる事が大切でしょう。パワハラの予防・解決に向けた取り組みを行っている企業で働く従業員は、パワハラを受けたと感じる比率や心身への影響があったとする比率が相対的に低くなる傾向にあります。この取り組みにより職場環境が変わる、対話が活性化する、休職や離職者が減る等の付随効果も見られるようです。

パワハラの予防・解決の為の効果が高い取り組みとして「相談窓口の設置」「管理職・従業員向け研修の実施」を挙げている企業が多く、相談窓口を設置している企業は73.4%と言われています。このように複数の取り組みを実施する事が職場環境改善に繋がっています。

平成29年度地域別最低賃金

最低賃金引き上げ額平均25円で過去最大

平成29年地域別最低賃金改定額は中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。

改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り26円引き上げられ、東京、神奈川に続き大阪も900円を超えました。Bランクの11府県も目安通り25円引き上げられ、三重、広島、滋賀、栃木の4県が新たに800円以上。一方Cランクは新潟が目安より1円高い25円の引き上げ。他の13道県は目安通り24円の引き上げで、北海道と岐阜が新たに800円台に乗せました。Dランクでは鳥取、宮崎、沖縄が目安より1円高い23円の引き上げで、高知、沖縄と福岡を除く九州6県が737円で並びました。

 

平成35年度には1000円まで引き上げ?

最低賃金は近年引き上げの流れが続いていて、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には全国加重平均額は663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。政府は全国加重平均で最低賃金3%程度引き上げ1000円を目指しており、このままですと平成35年度には1000円に達する事になり、中小企業には重い負担となってきます。

 

平成29年の改定額は以下の通りです。

A.26円改定

東京 958円 大阪 909円 愛知 871円 千葉 868円 神奈川 956円 埼玉 871円

B.25円改定

茨城 796円 京都 856円 静岡 832円  三重 820円 滋賀 813円 栃木 800円

長野 795円 富山 795円 広島 818円 兵庫 844円  山梨  784円

C.24円改定

北海道 810円 宮城 772円 群馬  783円 新潟 778円 石川 781円 福井 778円

岐阜 800円 奈良 786円 和歌山 777円 岡山 781円 山口 777円 徳島 740円

香川 766円  福岡 789円

D.22円、23円改定

青森 738円 秋田  738円 岩手 738円 山形 739円 福島 748円 愛媛 739円

高知 737円 島根 740円 鳥取 738円 長崎 737円 佐賀 737円 熊本 737円

大分 737円 宮崎 737円 鹿児島 737円 沖縄 737円

イクメン育児休業・同給付金(男性版マタニティーリーブ関係)

パタニティーリーブ(男性版育児休業)取得

制度(育児休業法・育児休業給付制度)や言葉(イクメン)があっても、なかなかそれを活用できない雰囲気にあるのが、日本の民間企業であり、そこに働く人たちです。

一方、同じ日本にありながら、外資系企業では、企業側もそこで働く人も、日本の民間企業とは考えが違います。日本人男性従業員は、奥さんの出産を機に、パタニティーリーブ(男性版マタニティーリーブ)を取得することになりました。

 

男性版:育児休業制度と育児休業給付金

(1)どれくらい休めるのか?

 子の出生日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者申出の期間です。

(2)その間の給料は?

育児休暇中の給料は、就業規則によりますが、定めがなければ、無給で構いません。

(3)何か給付金はもらえる?

出産日以後に無給の場合、育児休業給付の申請により、雇用保険から、給料の育休開始から180日目までは「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(181日目以降は同50%)、育児休業給付金が支給されます。

ただし、給付には上限があります。

また、育児休業給付金は、課税の対象となりません。

(4)無給中も負担しなければならないもの

毎月給与から天引きされている住民税の特別徴収額は引き続き負担しなければなりません。別途会社にその都度振り込むか、前もって天引きしてもらうかになります。

(5)無給期間中の社会保険

「育児休業申出書」を提出することにより、育児休業を開始した月から、終了した日の翌日の属する月の前月まで社会保険料負担が、本人・会社ともになくなります。

(6)給付金申請の方法

原則は、事業主が「育児休業給付金支給申請書」を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出します。その際、賃金台帳や出勤簿など、支給申請書の記載内容を確認できる書類の提出も求められます。

(注)その他詳しいことは、

・厚生労働省サイト「Q&A~育児休業給付~」

・ハローワークのサイト「ハローワークインターネットサービス 育児休業給付金」などをご参照ください。

・もしくは、お近くのハローワークか、会社顧問の社会保険労務士さんにご相談ください。

評価者の悩みと解決策

評価の納得性確保は、目標管理制度・人事賃金制度が、社員の信頼を得る基本的な条件ですが、1次評価者としての管理者が持つ悩みと解決策の視点から、この問題について考えて見ましょう。

 

管理者の悩みと問題現象

管理者の悩みと、それに伴って生ずる問題現象を整理して見ますと、次の通りです。

管理者の悩み 問題現象
被評価者が評価結果を納得しないことから、不平・不満を言われたくない。 意図的に高めの評価を行い、被評価者に誤った甘いメッセージを与え、能力開発努力を妨げる。
被評価者の不満が多いことから、管理者としての評価能力の低さが問われかねない。 管理者として自己の評価能力に不安を抱きながら、評価を続けざるを得ない。
確信が持てる評価材料が得られない。 恣意的な評価を自分に許す。

このような悩みと問題現象は、経営にとっても、管理者自身のマネジメントにとっても、また被評価者にとっても到底望ましい状況とは言えません。

 

適する解決策のポイント

解決策が具備すべき条件と、適する解決策は次の通りです。

  解決策の条件 適する解決策
公正な評価基準に基づく評価であること。 経営貢献度(所属組織の目標達成に対する貢献度)を評価基準とする。
評価根拠が目標達成プロセスの事実状況に基づいていること。 目標設定・目標達成プロセスの状況事実について直接的に知っている仲間が提供した「相互フィードバック情報」に基づいて評価すること。
評価者が確信をもって評価し、被評価者も納得して受け入れること。

 

経営者・人事担当役員の留意点

管理者の悩みは、自分からトップに対して打ち明け難いことがらであることを察して、経営者として「被評価者の納得性確保が重要である」との立場から対策を講じたいものです。

アニメ・ファッション分野等での外国人採用

専門知識・技術が求められる外国人採用

外国人が日本で適法に就労するためには、就労可能な「在留資格」、いわゆる「就労ビザ」を取得する必要がありますが、一部の例外を除き、この就労ビザが許容され得る業務は「学術上の素養を背景とする」「高度」で「専門的」な技術・知識を要するものでなければならないとされています。たとえば、会計学を学んだ人がその知識を活かして会計業務に就く場合や、電気通信工学を学んだ人がエンジニアになる場合などは比較的イメージしやすいのですが、業界によってはどのような業務が「学術上の素養を背景とする」「高度」で「専門的」なものとして許容されるのか、判断が非常に難しいケースが多々ありました。

 

クールジャパン戦略と就労ビザの明確化

これに対し、法務省は平成29年9月、アニメ、ファッション・デザイン、美容、食の4分野について、これらを専門に学びに来日した留学生等が、卒業後も引き続き日本で働く場合、どのような業務が就労ビザの活動範囲に該当し得るのか、各分野におけるこれまでの許可事例等を公表しました。この背景には、クールジャパン戦略の推進や日本のコンテンツに対する海外からの関心の高さがあるようです。

 

新たに公表された許可事例

今回公表された許可事例には次のようなものがあります。

①日本の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業した外国人が、アニメ制作会社において、絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

②日本の専門学校においてデザイン科を卒業した外国人が、服飾業を営む会社において、ファッションコーディネーターとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。

あくまで専門的技術や知識を活かす業務でなければならない、という前提に変わりはありません。しかし、これまで不透明であった分野における許可事例の公表で、企業の外国人採用、また留学生の就職活動にも、新たな視点が加わりそうです。

会社分割の要件緩和 創業者の会社貸付金の相続対策

会社分割を利用して貸付金の整理

平成29年の税制改正で分割型分割の適格要件が一部緩和されました。その内容はこうです。

単独新設分割型分割にあっては、分割後の株式の保有関係は、分割後にその同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係(支配関係含む)が継続することで足り、分割後のその同一の者と分割法人との間の完全支配関係の継続が不要とされました。

そこで、改正後の単独新設分割型分割を利用して創業者の会社貸付金の整理を試みてみます。

 

同族会社と同一の者

この「同一の者」は、親族が単位となりますので、同族会社の場合、親族で株式を保有している例が殆どだと思われますので、いわゆる、会社と同一の者による完全支配関係が成立します。適格要件は満たします。

例えば、甲社は、創業者60%、配偶者10%、子30%の割合で株式を保有されていたとします。この場合、甲社は、「同一の者」による完全支配の関係にあります。

 

創業者の貸付金の整理

具体的な手続きはここからです。甲社は、創業者からの借入金6千万円があり、債務超過でその返済も不能の状態にありますが、現在、事業は縮小しながらも継続して営んでいます。

ここで、甲社は分割法人となり、継続している事業を新設分割により乙社分割承継法人に承継させ、その後、甲社を解散・清算することにしますが、改正後は、同一の者と甲社分割法人との完全支配関係の継続が要件とされませんので、適格要件は満たしており、それは可能と考えます。

甲社は清算の段階で、創業者から6千万円相当額の債務免除を受け、その免除益が計上されることになりますが、既に甲社には残余財産がありませんので、原則として、期限切れ欠損金の利用により、甲社に債務免除益による課税は生じません。

結果として、創業者の会社への貸付金6千万円相当は相続財産から消えます。

但し、創業者の債務免除により当該者から他の株主への「みなし贈与課税」が生ずる余地はあるかもしれません。

なお、この改正は、平成29年10月1日以後に行われる分割から適用されます。

ふるさと納税実質2千円負担をゼロにする方法(裏技)

実質負担2千円のふるさと納税

ふるさと納税は、「実質2千円負担で地方の特産品が返礼品としてもらえる」と宣伝されています。実質負担2千円は、所得税法や住民税法で「寄附金が2千円を超える場合には…」等と規定されているためです。

2千円を減らす方法はないでしょうか?

 

ふるさと納税利用者拡大の歴史

平成20年に導入されたふるさと納税制度の利用者は、当初年間3万人程度でしたが、平成23年の東日本大震災で被害を受けた自治体への支援の寄附が増えてこの年74万人強の寄附がありました。その後はいったん減少しましたが、税収の少ない自治体にとっては魅力的な収入源ということもあり、返礼品競争や手続きの簡素化により、利用者は拡大しました。平成28年度の個人住民税における適用者数は129.5万人であり、前年度の43.5万人の約3.0倍でした。

こうした過程で、各自治体は、「書面申請→電子申請」、「銀行振込もしくは郵貯振替→クレジットカード決済」など、利用しやすい環境を整えてきました。

 

クレジットカードによるふるさと納税決済

クレジットカード決済は、納税者にとっては銀行等に出向くことなく便利ですし、受入れ自治体でも申込み即決済は税収確保の点からも安心です。(書面の手続きで納付書による納付の場合、時間経過で気が変わり、取りやめるというおそれがあります。)

さらにクレジットカード決済は、クレジット会社による決済ポイントが付けば、その分実質負担が減るということになります。

また、ふるさと納税のポータルサイトで独自にポイント付与を打ち出しているところもあり、そこでクレジット決済すると2重取りです。さらに、ポイントサイト経由で3重取りという裏技も存在します。

 

2千円を1%で割返すと寄附額20万円!?

クレジットカードの一般的ポイント付与は1%ですので、2千円を取り戻すには20万円の寄附が必要です。限度額20万円というと、総務省のふるさと納税サイトの控除限度額の目安のページによると、給与収入1,100万円もしくは1,200万円以上の方が対象となります。結構な高額所得者です。

そこまでの収入がない場合は、「ポイントサイト経由で→ポイントが付与されるふるさと納税ポータルサイトから→クレジット決済する」ことにより、できるだけ実質負担をゼロに近づけるということが可能です。

定型職・評価の納得性

目標管理制度において、定型的職務の場合、評価結果の納得性を確保することは、非定型職務と同様に重要課題ですが、職務の特性を考慮した対策が必要になります。

 

評価の納得性を確保するポイント

①定型職は生産技能職・販売職など「チームワークによる成果・貢献目標が適すること」「個人の技能習熟度レベル向上が目標となること」から、それらを考慮した目標設定を行います。

[チーム目標・個人目標設定例]

目標 期待される成果

(目標達成基準)

チームメンバーの個人業績評価基準(ウエイト)
共同目標 計画に基づく数量・品質・納期・生産性向上・コストダウン等の共同達成 チーム共同目標達成度によりメンバー全員に対して同じ評価

(例・60%)

個人

目標

 

チーム目標を達成するための個人別技能レベルの向上(個々の役割や社内等級に応じた「技能発揮レベル定義」に基づき個別に設定) 個人別に設定した技能レベル向上目標の達成度・チーム目標達成貢献度を評価

(例・40%)

②個人目標達成結果を「組織目標達成への貢献度で評価」し、その評価をチーム共同目標を設定した仲間同士の「相互フィードバック」によって行う。

・技能レベル向上目標達成度と共同目標達成に対する貢献度

・仲間に与えた影響

を評価基準とし、その結果を自己評価・管理者の評価で重要な参考とする。

③フィードバック面接

・本人(被評価者)と管理者(1次評価者)の準備:相互フィードバック結果から、反省点・アドバイス・次期の課題など

・自己評価と管理者評価の擦り合わせ、違いの調整

・業績・能力開発に関する今期の反省点と次期の努力確認

・管理者による期待・激励

 

経営者・管理者の留意点

定型職の場合「共同目標設定」と「相互フィードバック」が、納得性確保のポイントです。

今年2度目の育児・介護休業法改正

2017年1月からの改正

この10月より育児・介護休業法の改正が行われます。改正は今年2度目となりますが、まず1月に改正された内容を振り返ってみましょう。

1月からの改正点は妊娠、出産、育児期や家族の介護が必要な時期に男女ともに離職する事なく働き続けられるように仕事と育児の両立を目指して次の8点が見直されました。

①介護休業の分割取得

②介護休暇・子の看護休暇の取得単位緩和

③介護の為の短時間勤務等取得条件の緩和

④所定外労働免除請求は介護終了時迄可能

⑤有期契約労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

⑥介護休業等の対象家族の範囲の拡大

⑦育児休業の対象となる子の範囲の拡大

⑧マタハラ、パタハラ防止措置の義務付け

 

10月からの改正点

上記に引き続き10月の改正では子が保育園に入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐため、以下の3点が改正されます。

①最長2歳まで育児休業の再延長が可能に

②出産予定の労働者や配偶者がいる人に育児休業等の制度の周知の努力義務

③育児目的休暇制度導入の促進の努力義務

1年に2度の改正が行われるのは大変異例なことですが、政府が推し進める「働き方改革」の中でも育児・介護による離職の防止は重要なキーワードとなっており、対策が急がれています。

 

政府の対策と社内整備

待機児童問題に関しては2013年からは様々な措置が行われてきました。これにより保育利用率は年々上昇しているものの待機児童はなお2万人を上回る水準で推移しています。

1億総活躍社会の実現として多様な働き方を認める制度や法改正は今後も続くでしょうが法改正の趣旨は法律遵守だけが目的ではなく、働く人の意識を高め能力を最大限に生かし限られた時間で成果を作りだす生産性の高い組織となる事でしょう。法改正規定の整備だけでなく柔軟な労働時間や休暇制度等も組み合わせて従業員全体の満足度にも資する制度でありたいものです。

製品開発費の回収方法の変遷と移転価格税制の歴史

移転価格税制の歴史(導入当初~20年)

日本に移転価格税制が導入されたのは1986年の税制改革においてであり、法人間の国際取引に限定して導入されました。規定が導入された当初は、主に米国法人の日本子会社を狙い撃ちする形で移転価格税制に基づく税務調査が行われました。この背景として、1980年代後半、米国で、税収増のため、外資系企業(特に堅調な日欧の自動車産業)に対する課税の強化が顕著となり、米国に進出したわが国企業の税に対する環境が厳しさを増してきたことがあり、その対抗措置でもありました。

上述の経緯で規定導入当初は日本に進出している外国法人の調査が主流でしたが、導入後20年を経過した頃には、日本法人が海外の製造子会社に提供した技術の対価を適正に収受しているか否かという点に着目した調査が増えてきました。

 

製品開発費の回収方法の変遷

1980年代後半以降、安い人件費による製造原価の引き下げと、発展途上国の消費増加の期待から来る市場開拓などで、わが国製造業の海外生産移転が進みました。

製品を開発するには膨大な時間と費用(=開発の人件費)が掛かっています。最近であれば、無形資産の評価で開発費を回収するという流れになってきています。しかしながら、20~30年前は、単純に製品対価に上乗せして回収するという方法が簡易で便宜的であるとされていました。そのため、東南アジアなどの海外市場で売る製品も、現地生産でありながら、帳簿上はいったん日本の本社で全部買い上げ、それを再度現地生産国周辺で販売するという形を取り、開発費の回収を図っていました。移転価格税制の規定がすでに導入されていたとはいえ、日本法人の国外関連者との取引価格にまでは踏み込まれてはいませんでした。

 

移転価格税制は国と国との税の分捕り合い

上述のように、最新論点は、BEPS(税源浸食と利益移転)行動計画8で論議されている無形資産の移転価格についてです。無形資産の開発に係る資金提供に対して期待される利益に関する具体的なガイダンスです。

移転価格税制とは、結局、簡単にいうと売側もしくは買側のどちらの国の利益とすべきかという話となります。各国間でお互いに納得できる移転価格算定方法を取決め、分捕り合いに費やす時間を無駄に使わないようにしようということなのですね。

カテゴリー
お気に入り