2月, 2018

加給年金と振替加算

昨年は年金の振替加算未支給問題が発生しました。ご夫婦のいずれかに加給年金が支給されていて、妻(夫)が65歳になり加給年金が終了し、振替加算の対象になったにもからわらず未支給だったことが判明したのです。すでに支払いは終了したそうですがこの振替加算とはどんな制度でしょうか。

 

加給年金の後に振替加算

加給年金は一種の家族的手当ですが18歳未満の子や年収850万円未満の配偶者に支給されます。老齢厚生年金の加算部分である加給年金は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある場合に定額部分支給開始年齢に達した時点(かつては60歳だったが段階的に65歳に引き上げた)でその人に生計を維持されている時に加算されます。

加給年金の対象者になっている配偶者(一般的に妻)が65歳になるとそれまでは夫に支給されていた加給年金が打ち切りになり振替加算が行われます。振替加算は配偶者(一般的に夫)の老齢厚生年金(厚生年金の被保険者期間240月以上が要件)又は障害厚生年金(1級または2級)に受給権者(一般的に妻)にかかる加給年金が加算されている場合、妻が65歳に達した時に夫の加給年金額を妻に支給する老齢基礎年金に振り替えて加算する制度です。振替加算がなされると妻の年金として一生支給されます。

 

支給額について

加給年金は妻が65歳になって振替加算になりますが、金額がそのまま移行するわけではありません。配偶者の加給年金は65歳未満であり、224,300円が支給されます。老齢年金受給者(夫)の生年月日により加給年金に33,100円から165,500円の特別加算が付きます。一例として受給権者が昭和18年4月2日以降生まれで配偶者が65歳未満の方は、特別加算と合わせると389,800円の年金額になります。

振替加算は昭和61年4月1日に59歳(大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれ)の方は加給年金と同額の224,300円の支給ですが、若くなるにつれて減額して昭和61年4月1日に20歳未満(昭和41年4月1日以後生まれ)は0円となります。

ちなみに今年65歳になる方で昭和28年4月2日~昭和29年4月1日生まれの方は年額62,804円です。

同一労働・同一賃金とは

同一労働・同一賃金ガイドライン案

労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に「同一の使用者と労働契約を締結している、有期雇用労働者と無期雇用労働者との間で期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止する」とされています。最近耳にするこの事項は同じ条件で働く有期と無期の労働者の処遇について示されています。その中で労働条件が不合理かどうかとは次のようなことを言っています。

①職務内容の仕事と担っている責任度合い

②人材活用の仕組み

転勤の有無、範囲、職務変更の有無、範囲、

将来に向かってのキャリアの範囲

また、通勤手当、食堂の利用、安全管理等についての労働条件を相違させる事は特段の理由がない限り合理的とは認められないとしています。

 

労使で勤務体系を考える論議望まれる

同一労働・同一賃金のガイドライン案は正規か非正規かと言う雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し両者の不合理な待遇差の解消を目指そうとするものです。これを解消するには各企業において職務や能力と賃金の処遇体系全体を話し合い、確認する事が肝要としています。

 

待遇差で問題となる例

①基本給について

・無期雇用フルタイム労働者Aは有期雇用労働者Bより多くの職務経験を有する事を理由としてAにより多くの賃金を支給しているがAの職業体験は現在の業務と無関係

・基本給の一部を業績・成果で支給していて、無期雇用者が販売目標を達成した場合支給しているが、パート労働者が無期フルタイム労働者の販売目標に達しない場合には支給していない(労働時間が少ない)

・勤続年数に応じて支給しているが有期フルタイム労働者には通算の勤続年数は考慮していない

②賞与について

・会社業績の貢献度に応じた支給をしている会社が無期フルタイム労働者には職務内容・貢献度にかかわらず全員支給しているが有期雇用労働者やパートには支給しない

これからは正社員だから、有期雇用者だからと言った理由だけで不合理な制度では労働者は不満を感じてしまうかもしれません。

所得区分は原則・雑所得(総合課税) 仮想通貨の損益確定による申告

「仮想通貨に関する所得の計算方法」公表

コインチェックの580億円流出が大きな話題となっておりますが、平成29年は日本の仮想通貨取引が大きく伸びた年でした。国税庁では「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」を公表しています。

 

所得の種類は原則として「雑所得」

ビットコインをはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、原則として「雑所得」として区分されます。この取引による損益を「日本円と外貨との相対的な関係により認識される損益」と性質は同じと見ているためです。その意味では外国為替証拠金取引(FX)と変わりません(仮想通貨もFXと同様に証拠金の何倍かの取引(レバレッジ)を行うことができます)。

ただし、仮想通貨取引の場合は、FXに適用される申告分離課税には該当しません。

総合課税により申告することになります(雑所得ですので、損失は、他の所得との通算や翌年分への繰越しはできません)。

 

「事業所得」として区分される場合

なお、その仮想通貨取引自体を生業として収入を得ている場合には「事業所得」に区分されます。事業所得者が事業資産として所有していた仮想通貨を、その決済に用いる場合についても、事業所得の付随収入として申告することになります。

 

具体的な収入・費用(取得費)の計算方法

収入の計上時期は、①仮想通貨の売却(日本円に換金)、②仮想通貨での商品購入(決済利用)、③他の仮想通貨(アルトコイン)との交換のタイミングとなります。

取引内容 収入金額
①仮想通貨の売却 売却金額
②仮想通貨での商品購入 商品の価額
③他の仮想通貨との交換 他の仮想通貨の時価

収入金額からは取得費を控除しますが、同一仮想通貨を2回以上にわたり取得している場合はその払出単価の計算は「移動平均法」によることが相当とされています(継続適用を要件に「総平均法」も選択可)。

 

〈仮想通貨の所得金額の計算〉

収入-単位当たりの取得価額×支払仮想通貨

計算資料としては、仮想通貨の入出金明細書、ウォレットの残高等が必要です(取引所によっては取引履歴のダウンロード可)。その他収入を得るために要した費用も必要経費として控除することができます。

契約社員制度の改革

2013年に施行された「改正労働契約法」や人材不足を背景に、全従業員の活躍機会の拡大と人財力の底上げによる会社の成長を企図し、契約社員制度を改革する企業が増加しています。

ここでは、多くの契約社員を活用してきたM社が2015年度から、契約社員制度の改革を実施した事例を紹介し、改革のあり方を考えて見ることにします。

 

契約社員制度改革事例

1.改革のねらい

契約社員の位置づけを「事務実務を担う主戦力」とするとともに、「将来の事務上位職を担う人財の基盤」として引き上げ、これまでの契約社員の枠を超えた役割での活躍を推進する。

2.改正のポイント

①契約期間が無期の「無期契約社員」と契約期間1年の「有期契約社員」を創設

②従来の契約社員は全員「有期契約社員」へ移行

③2019年4月には、基準をクリアした「有期契約社員」全員が「無期契約社員」へ移行

④これまで個別契約であった処遇体系等を規程化し、透明性を確保

・勤務時間は7時間・月給制に統一

・賞与に業績連動係数を導入

・処遇水準は現行水準以上に設定

・無期契約社員移行後は高年齢者雇用制度のもと60歳以降も継続雇用

・「有期契約社員」の給与は、「基本給」「累積加算給」・「地域加算給」で構成

・勤務時間変更に伴う処遇幅引き上げと地減給の見直しにより、処遇の大幅な魅力化

・評価による処遇感応度も高め「がんばった人が報われる」制度にしている

・「無期契約社員」の給与は、「資格給」・「ランク給」・「地域加算給」で構成。賞与は全員が支給対象

このように、M社では契約社員制度の改革を推進し、社員の処遇制度に近づけた制度としております。

 

経営者・管理者の留意点

これは、全社員を対象とする「頑張った人が報われる」人事制度改革の一環として実施されたもので、全ての企業に今後欠くことが出来ない視点であると言えましょう。

成人式の「振袖レンタル」騒動に思う 業種でさまざま「前受金保全措置」

H30年初に騒がせた「はれのひ」トラブル

横浜市の振袖販売・レンタル会社「はれのひ」が、成人式当日に音信不通となってしまった騒動。同社は既に破産手続開始を決定し、管財人が保管の振袖の返却を始めたようです。

この会社は、対外的には年々売上げが伸びていると公表していましたが、東京商工リサーチの調べでは、前々期決算の段階で負債総額6.1億円(金融債務4億円)、3.2億円の債務超過であったとのこと。仕入先との取引停止や賃金未払も生じており、最終的な負債も10億円との報道もあります。

 

注目が集まった「振袖レンタル」業とは?

一連の報道の中で注目が集まった「振袖レンタル」のビジネス。最近の成人式の振袖レンタルは、1~2年前から予約を受け付け、試着や前撮りを行い顧客を囲い込むスタイルだったなど、初めて聞いた方も多かったろうと想像します。

京都の呉服店から着物を仕入れ、レンタルするものは固定資産計上(2年償却)。そのメンテナンスとともに、店舗・スタジオ等の設備投資、スタッフ・着付け師などの人件費が発生。販促・広告宣伝費も欠かせません。予約時に予約金を取るのであれば、本来は「前受金ビジネス」のようにも思えますが、ほぼ年一回転の振袖の仕入れ、使用期間はごく短期。価格競争も厳しく、素人目にも「前受金ビジネス」とするにはリスクがあり過ぎるようにも見えます。

 

呉服屋さんの友の会「前受金保全措置」も

一般に「前受金ビジネス」と言われる業種は、資金の出入りが一般と逆なだけに、撤退・縮小戦略が採りづらい傾向にあります。そのため、破綻するときは、拡大路線のまま倒産というのもよく見る光景で、顧客の被害は大きなものになります(「NOVA」「てるみくらぶ」の経営破綻がよい例)。

そこで割賦販売法の「前払式特定取引業」の場合には、「前受金保全措置」(前受金の50%を供託)が行われます。元々は冠婚葬祭互助会で始めた手法ですが、呉服屋さんが運営する「友の会」では、この保全措置を行っているところもあります。

また、特定商取引法の「特定継続的役務提供」(エステ・語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室・結婚情報提供)は、一定額を超える金銭を受領するときは、保全措置の有無などを契約に明記しなければならないこととされています。「前受金分別 信託」を導入している会社もあります。

無期転換申込権発生に備えての対応

無期転換申込権とは

今年の4月より無期転換制度が始まります。この法は従前には無かった新しい制度であり企業に有期雇用労働者がいる場合、必要な手続を行う事が求められます。

無期雇用転換制度とは労働契約法第18条(有期労働契約者の期間の定めのない労働契約への転換)に規定されています。

「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了するまでの間に、当該満了日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたときは、使用者は申込みを承諾したものとみなす」と言うものです。つまり同一事業主の下、有期労働契約を更新していて5年を超えた時、本人が無期転換申し込みをしたら定年・再雇用までの継続勤務として扱うと言う事です。

 

目前に迫る開始期日と対応

対象労働者は平成25年4月1日以降に有期雇用契約をし更新した方が、平成30年の4月1日以降通算5年を経過すると、無期転換申込権が発生、その日以降いつでも、申し込みができる状態になる訳です。

具体的な対応としては、

①平成25年4月1日以降に有期雇用契約をした対象者に対し転換時期(通算5年を超えた日)を知らせる必要があります。

その際、就労実態を調べ社内の仕事を整理区分し任せる仕事を考えます。また、無期雇用とは必ずしも正社員と同一労働条件を指すものではないので、今までと同じ待遇と言う場合もあるでしょう。

②無期転換雇用者就業規則の定めをする

③高年齢者や再雇用者の対応

有期特措法の適用で定年後の継続雇用の方の無期雇用の適用除外認定手続きを取る。

 

今後の会社の方針を検討する

有期雇用労働者を5年以上続けて雇い入れている企業は、今後どのような方法を採るかを考える必要があります。

①正社員や多様な正社員への登用

②雇い入れ期間設定(通算5年未満)や勤務評価の上限設定。但し申込権発生直前の雇止めは慎重さが必要です

③申し込みがあれば無期雇用にはするが労働条件は変えない

……等があります。

来日外国人の短期滞在者免税

短期来日の外国人は課税されないのか?

観光ビザで入国し、日本中を興行(ヨガ講師等)で荒稼ぎをして帰国することを繰り返している外国人芸能人もいるようです。「働く期間が観光ビザ(90日)以内なら課税されない?」ということはありません。日本で稼いだお金のすべてが課税対象です。

そもそも観光ビザで来て報酬を得る行為自体が違法で、発覚すると国外退去処分になり次回以降の入国はできなくなります!

 

短期滞在者免税とは

課税の原則は、その国で稼いだ所得はすべて課税対象です。一方、租税条約には「短期滞在者免税」という制度があり、その要件に合致して所定の手続きを取れば、大手を振って免税となります。

短期滞在者免税というのは、「給与所得者(=サラリーマン)が相手先の国で勤務した場合、その国で勤務した分の給与(=給料を日数で按分)は本来その勤務先国で課税されるが、相手国と租税条約があれば、その勤務が短い期間(=各租税条約で適用は違いますが、年の半分=183日以下)であれば課税しませんよ」という制度です。

<主な条件>ただし、租税条約で違いあり。

(a) 報酬の受領者が年間合計183日を超えない期間その相手先国内に滞在すること。

(b) 報酬が相手先国の居住者でない雇用者等から支払われるものであること。(=自国で給料が負担・支払われるものであること)

(c) 報酬が雇用者の相手先国内に有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと。(=滞在した相手先国の支店等による給与負担がないこと)

 

短期滞在者免税を適用するためには

短期滞在者免税は、サラリーマンのみならず、自由職業所得を得る人(相手先国に固定的施設を有しない)や、芸能人・運動家も、租税条約に規定があれば適用されます。

適用には、「租税条約に関する届出書」を事前に税務署に提出することが必要です。また、最終的に免税となる場合であっても、いったん源泉所得税を納付し、その後還付されるという手続きもあります。

いずれにしても、外国に住む人や外国の会社へ何らかのお金を支払うときには、常に源泉所得税の問題をきちんと調べる必要があります。相手先が個人なのか法人なのかによっても課税関係と適用される規定が変わっています。十分に注意しましょう!

個人情報の利用目的の変更

すべての事業者が個人情報保護法の対象に

平成27年9月3日に成立した改正個人情報保護法が、平成29年5月30日から全面的に施行され、すべての事業者が個人情報取扱事業者として同法の適用を受けることになりました。

個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的を特定したうえで、個人情報を取得した際に、これを公表または本人に通知しなければならないとされています。

しかし、本人に通知していた利用目的に漏れがあったり、事業の拡大により利用目的の追加が生じることも考えられます。その場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

 

利用目的の変更が認められる範囲

まず、一旦通知した個人情報の利用目的を一方的に事業者が変更できるとすれば、事前に利用目的を通知しなければならないとした趣旨を没却することになります。そこで、原則として、本人の同意がなければ利用目的を変更することはできません。本人の同意を得る手続は、事業者にとって非常に負担の大きいものとなります。

もっとも、例外的に、「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」については、変更後の利用目的を本人に対して通知するか、公表することにより、個人情報を利用することができるとされています。

例えば、フィットネス事業者における「顧客の食事メニューの指導」と「当該食事メニューに関する食品販売」という利用目的は、関連性を有するものとして認められると考えられています。

 

目的外利用に対する制裁とは

では、本人の同意を得ずに利用目的を変更した場合など、本人に通知していた目的の範囲外で個人情報を利用した場合はどうなるのでしょうか。

個人情報保護法では、法令に基づく場合(例:裁判官の令状による場合)など目的外利用が認められる例外事項が列挙されています。しかし、これらに該当しない場合には同法違反の行為となりますので、個人情報保護委員会という組織より、指導・助言、勧告・命令などを受ける可能性があります。また、これらの監督に従わなかった場合には、罰則が設けられています。

パフォーマンスの最大化

処遇制度改正のねらいは、一般に「一人ひとりの役割発揮(パフォーマンス)の最大化」を実現することですが、2014年からこの改革に取り組んでいるM社の事例から改革のあり方を考察してみましょう。

 

M社の処遇制度改革

改革のねらい 改革概要
職務の再編・役割・職務に応じた処遇

(職能資格に連動して支給する部分のウエイトを減らし、年功序列の要素を減らす)

職務の重さを量り直して、処遇水準を再設定

・すべての職制・職務を4つの職群(経営管理職群・一般職群・営業管理職群・プロフェッショナル職群)に区分し、職群の特性に応じて賃金体系を構築

役割等級(グレード:役割の大きさ、職務に応じた等級)の設定 4つの職群ごとにグレードを新設。設定基準は、経営に与える影響度、職務権限・責任の大きさ、職務の難易度、マネジメントの範囲等
上位職等に挑戦できるよう処遇を魅力化し、女性の活躍を促進

 

「同一職務=同一賃金」の処遇体系を指向。転居・転勤にかかわる処遇を除くと、総合職(全国型)と総合職(地域型)は、同一の賃金の適用。

昇格・昇進等活躍の機会を拡大

会社業績の反映

従来は、賞与のみ反映、会社業績と処遇の運動性強化

・年収に占める賞与の占率を大きく引き上げ

・加えて、経営管理職群には年俸制を導入、会社業績を年収に反映

評価制度見直し。

パフォーマンス(役割発揮)状況の評価。継続的に役割発揮をする層の処遇が上がり続ける仕組みを整備

・パフォーマンス評価結果を処遇に反映、評価のメリハリを強化

・社員の大多数を占める一般職群については、複数年にわたるパフォーマンス評価を処遇に反映

中高年齢層の活躍促進 プロフェッショナル職群を整備、57歳以上の処遇調整(処遇の引き下げ)を撤廃

このように、パフォーマンスの最大化は、「がんばった人が報われる」コンセプトの下で、処遇制度の諸要素を再構築、運用することにより、達成されると言えます。

チップに税金はかかるのか?(申告の方法と課税漏れ対策)

海外旅行で戸惑うチップ

日本人が海外旅行で戸惑う制度の代表がレストラン等で渡すチップの金額と支払い方です。チップとは、本来、サービスを受けたことに対するお礼として渡す気持ちの表れです。規定料金とは別の心づけです。

しかしながら、観光ガイドや添乗員に、「彼らの給料は低く抑えられていて、チップをもらうことを前提としたものになっています。少なくとも〇%位は渡して下さい」 と言われると、本来のお礼の気持ちの心づけとは別のものとなってしまいます。

「何で本来経営者側が負担すべき給料を客に押し付けるのだ!」と言いたくなります。

 

チップは課税されるのか?

さすがチップの本場(?)と言いましょうか、アメリカでは、自己申告(+それを補う別制度あり)により、きちんと課税が行われる仕組みとなっています。また、自己申告に頼れない分は、補完の概算計算制度で課税も担保されるような仕組みとなっています。

 

日本におけるチップの課税

日本の場合は、一般的にチップの習慣がありません。例外として、旅館で女中さんや運転手さんに渡すことがあります。

日本の個人所得税では、“勤務先を通さずに直接個人が懐に入れるチップ”は、雑所得として課税対象になります。申告対象です。

一方、チップを渡す方は、業務上の支払いの場合にはチップも所定の条件が整っていれば(=記帳の適時・適格性等)、“経費として落ちる”ことになります。ただし、接待交際費・給与・福利厚生費などとなり、それぞれ課税の扱いが変わってきますので、要注意です。

“経費として落ちる”ということは、税務署側も会社の税務調査等で資料収集しますから、渡された側が申告していなければ、課税漏れが発覚する可能性はゼロではないのです。そのため、「チップを直接個人がポケットに入れたら税務署はわからないだろう」ということはありません。

ところで、“勤務先を通して個人が受け取るチップ”というものもあります。これは、たとえば、「旅館などで女中さんがもらったチップはいったん会社に入れて全員で分ける」といったようなケースです。この場合は、各人は給与の一環としてもらうことになり、会社側が源泉徴収しなければならないことになりますので、注意が必要です。

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