column
コラム
2024.11.14

法定相続情報一覧図を解説|概要・手続き方法

金融機関などの相続手続きには、被相続人(亡くなられた人)の出生から死亡までの戸籍謄本をはじめとする書類を大量に収集し、各金融機関などに提出する必要があります。しかし、書類の不備があれば、手続きが滞ることが問題となっていました。
法定相続情報一覧図を作成することにより、手続きの度に大量の書類を提出する必要がなくなり、1枚で相続に関するさまざま手続きを進めていくことができます。
(遺産分割協議書等の資料は別途必要になる場合があります。)

本記事では、法定相続情報一覧図の概要や具体的な申請手続きについて解説します。

法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図とは、故人である被相続人と相続人との関係を一覧にした家系図のような書類です。

2017年5月から開始した証明書で不動産の相続登記のみならず、銀行口座の名義変更・解約や相続税の申告における戸籍謄本の代わりとして使用できます。


見本_法務局ホームページ引用

  • 法定相続情報一覧図のメリット
  • 法定相続情報一覧図のデメリット
  • 法定相続情報一覧図の利用方法
  • 法定相続情報一覧図の手続きにおける注意点

法定相続情報一覧図のメリット

法定相続情報一覧図を取得する最大のメリットは、相続の際に必要な手続きを簡略化できる点です。認証された一覧図の写しが発行されることで、公的な証明書としてさまざまな機関で使用できます。
相続手続きを行う際、戸籍謄本を何通も用意する必要がなくなり、手続きが効率化されるため時間の削減にもつながります。
発行手数料は無料ですので、相続手続きの度に戸籍謄本を何通も取得することを考えれば費用面でのメリットもあります。

法定相続情報一覧図のデメリット

法定相続情報一覧図の作成に手間がかかります。一度作成したあとは手続きを簡略化できますが、最初に申請書類の準備や作成、手続きが必要です。

法定相続情報一覧図の利用方法

法定相続情報一覧図が使える手続きの場面としては、以下のものが挙げられます。

  • 預貯金の相続手続き
  • 不動産の相続手続き
  • 保険金の請求、名義変更手続き
  • 有価証券の名義変更手続き
  • 自動車の名義変更手続き
  • 相続税の申告 など

法定相続情報一覧図の手続きにおける注意点

申出人

申出が出来る人は限られています。被相続人(亡くなられた人)の相続人以外で代理人になることができるのは以下のとおりです。

法定代理人 親権者や成年後見人など
民法上の親族

3親等内の姻族と6親等内の血族、配偶者
※3親等内の姻族:配偶者の親や祖父母、兄弟姉妹や甥姪など
※6親等内の血族:自分の子ども、孫、ひ孫、親、祖父母、曽祖父母、叔父叔母、甥姪、いとこなど

資格代理人 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士

申請登記所

法定相続情報一覧図は、法務局・地方法務局・その支局および出張所などの登記所で申出をすることができます。

申出をすることができる登記所は、次の地を管轄する登記所のいずれかです。
・被相続人の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
※申出は郵送でも可
※不動産登記の管轄区域による

法定相続情報一覧図の手続き方法

  • 手続きの流れ
  • 必要書類の準備
  • 法定相続情報一覧図の様式および記載例
  • 申出書の記載
  • 費用と取得までの期間

手続きの流れ

①戸籍謄本などの必要書類を集める

②法定相続情報一覧図の作成

③申出書を記載、法務局へ提出

①必要書類の準備

相続人(申出人)が誰になるかで準備する書類が変わります。

必ず用意する書類

書類名 取得先
被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本
出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本を用意してください。
被相続人の本籍地の市区町村役場
被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票
被相続人の住民票の除票を用意してください。
被相続人の最後の住所地の市区町村役場
相続人の戸籍謄抄本
相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本を用意してください。(被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要。)
各相続人の本籍地の市区町村役場
申出人(相続人の代表となって、手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類
具体的には、以下に例示する書類のいずれか一つ

・運転免許証の表裏両面のコピー※
・マイナンバーカードの表面のコピー※
・住民票記載事項証明書(住民票の写し) など

※原本と相違がない旨を記載し、申出人(又は代理人)の記名をしてください。

※被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となるときなど、法定相続人の確認のために上記の書類に加えて被相続人の親等に係る戸除籍謄本等の添付が必要な場合があります。

必要となる場合がある書類

書類名

取得先

【法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合】

各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
※ 各相続人の印鑑証明書や戸籍の附票でも代用できます。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは、相続
人の任意によるものです。

各相続人の住所地の市区町村役場

【委任による代理人が申出の手続きをする場合】

⑥-1 委任状
⑥-2(親族が代理する場合)
申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本
①又は③の書類で親族関係が分かる場合は、必要ありません。
⑥-3(資格者代理人が代理する場合)
資格者代理人団体所定の身分証明書の写しなど

⑥-2は市区町村役場
【②の書類を取得することができない場合】
被相続人の戸籍の附票
被相続人の住民票の除票が市区町村において廃棄されているなど
して取得することができない場合は、被相続人の戸籍の附票を用
意してください。
被相続人の本籍地の市区町村役場

②法定相続情報一覧図の様式および記載例

配偶者と子ども2人の場合の記載例を紹介しますので、参考にしてください。

タイトル

「被相続人 〇〇 法定相続情報」と記載します。〇〇には、亡くなった人の名前を記載します。

被相続人の情報

亡くなった人の氏名、最後の住所、最後の本籍地(任意)、生年月日、死亡年月日を記載します。

相続人の情報

相続人の氏名、生年月日、被相続人との続柄を記載します。
相続人の住所の記載は任意です。住所を記載する場合、住民票の写しが必要で、住民票のとおり記載する必要があります。
※住所を記載しない場合、相続手続きを行う際に各所で相続人の住所を証明する書類が必要になります。

申出人

申出人となる相続人には「(申出人)」と併記します。

作成年月日、作成者名

作成者は作成した日を記載し、自身の住所を記載の上、記名します。

その他注意点

用紙 A4縦書きで作成
下から5cmは何も記載しない(法務局が認証文を挿入するため)
紙質 長期保存することができる丈夫なもの
文書作成 パソコンで作成するか、手書き(ボールペンなどを使用し、楷書ではっきりと)でも問題ありません
押印 印鑑の押印は不要

様式および記載例は、法務局ホームページにケース別にありますので、ご参照ください。

③申出書の提出

以下を参考に申出書を作成し、必要書類および法定相続情報一覧図とともに法務局へ提出してください。

申出書様式(WORD[21KB]PDF[17KB]

申出書の記入例(PDF[156KB]

費用と取得までの期間

申出に費用はかかりません。申出後、数日から1週間ほどで交付を受けることができます。
預金や不動産の相続手続きなどで使用できますので、必要な枚数を申請しましょう。
※証明書交付後、申請時に提出した戸籍謄本などは返却されます。

まとめ

法定相続情報一覧図についてまとめました。特に取引していた金融機関が多い場合、法定相続情報一覧図があると相続手続きがスムーズに進みますので、ご利用を検討してみてください。
杉山会計事務所では相続手続きや相続税についてなどのさまざまな悩みに対するご相談を承っています。相談料は初回無料です。どんなことでもお気軽にご相談ください。

contact 無料相談はこちら

相続に関するご相談、税務相談や経営相談など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
事前にご連絡いただければ、土日祝対応も可能です。

TEL.082-877-4218
[営業時間] 平日9:00~17:30
杉山会計事務所

〒731-0122
広島県広島市安佐南区中筋二丁目5-25-201
TEL:082-877-4218/FAX:082-877-4219

Copyright ©杉山会計事務所. All Rights Reserved.