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コラム
2024.11.12

財産債務調書の書き方で加算税の軽減措置NG

 財産債務調書は①所得税の確定申告を提出することができる方で退職所得を除く所得金額の合計額が2,000万円を超え、その年末に3億円以上の財産か1億円以上の国外転出特例対象資産(有価証券や未決済の信用取引等)がある方か、②年末に10億円以上の資産がある居住者の方が、翌年の630日までに提出する書類です。

 また、財産債務調書を提出する場合には、「財産債務調書合計表」を作成、添付する必要もあります。

財産債務調書のアメとムチ

 財産債務調書を提出期限までに出しておくと、財産債務調書に記載がある財産・債務について、所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その財産・債務に係る過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されます。

 逆に、財産債務調書の提出が期限内にない場合、または期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産・債務の記載がない場合、所得税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除く)が生じたときは、その財産・債務に係る過少申告加算税等が5%加重されます。なお、相続財産債務については、有する方の責めに帰すべき事由がなく、財産債務調書の提出がなかったり期限内に提出されなかったりしても、加重措置の対象にはなりません。

調書の書き方を不服審判所で審査

 税務署が行った処分について納税者が不服を申し出た場合、その処分が正しいものなのかを審査する不服審判所に、「財産債務調書に証券会社ごとの合計額を記載した」ものについて、「重要なものの記載が不十分である」とされ、過少申告加算税の加重措置を受けた処分の取り消し及び軽減措置の適用を求めた訴えがありました。

 税務署は調書には「種類、数量、価額及び所在並びに債務の金額その他必要な事項」の記載が必要で、銘柄についても銘柄別に区別することなく記載することは認められていないと主張し、納税者は「他の資料を見れば各銘柄等の情報は容易に判定できるため記載が不十分とは言えない」と主張しました。

 審判所の判断は、「重要なものの記載が不十分なので、加重措置の取消や軽減措置の適用はない」として、審査請求は棄却されました。

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