「代表取締役等住所非表示措置」
会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を見れば、誰でも代表取締役の自宅住所を確認することができます。これに対し、プライバシー保護等の観点から、2024年10月1日に始まった「代表取締役等住所非表示措置」で、一定の要件を満たすことで登記簿上の住所を市区町村までしか表示させない措置が可能となっています。
一見、嬉しい制度ですが、実務上はいくつか注意すべきポイントがあります。
「合同会社・有限会社」は制度の対象外
まず最も気をつけたいのが、この制度が利用できるのは「株式会社」の代表取締役や代表清算人などに限定されているという点です。近年設立コストの低さから人気の合同会社の「代表社員」や「職務執行者」などは、この住所非表示措置を利用することができません。「法人なら一律で非表示可」と誤解されやすいため、合同会社の経営者やこれから起業を考えている方は特に注意が必要です。また、有限会社もこの措置では対象外です。
ただし、プライバシー保護の観点から「すべての会社を対象に広げる」という法改正の動きがあり、2026年12月頃に合同会社や有限会社も利用できる改正があるかもしれません。2026年の年末の法改正のタイミングには、新聞などでその動きを注視してください。
非表示のデメリットと実務上の注意点
住所を非表示にすることで、以下のような実務上のデメリットや手間が発生する可能性があります。
(1)金融機関からの融資審査
金融機関で法人口座を開設したり融資を受けたりする際、先方は厳格な本人確認を行います。登記簿で住所が確認できないため、法人の「印鑑証明書」や「代表者の住民票」の提出を求められ、手続に時間がかかることがあります。
(2)不動産取引や重要な契約
不動産の売買や賃貸契約、あるいは大手企業との新規取引の際にも、代表者個人の住所確認が求められることが一般的です。
(3)変更登記ごとに申請が必要
代表者の住所変更時など変更登記を行う際に、改めて非表示措置の申出書を添付しなければ、新住所が公開されてしまいます。